ジェームズ・ハーデン

ハーデンが入るとチームは失速、得失点差-28

クリッパーズが大苦戦を強いられている。いや、苦戦しているのはジェームズ・ハーデンが、と言うべきだろう。強引なトレード要求を突き通して移籍を実現させてから、クリッパーズは5連敗を喫している。うち4試合は彼が出場した試合だ。

現地11月12日には、ここまで1勝7敗と勝てていないグリズリーズに勝ち星を献上した。先発出場したハーデンが一度ベンチに下がった第1クォーター残り28秒の時点で19-32と大量ビハインドを背負っており、その後にチームは巻き返したが、第2クォーター残り4分半でハーデンがコートに戻ると失速。後半も流れは変わらず、ハーデンがいるとチームは機能せず、ハーデンがベンチに下がると勢いを取り戻した。

68-79と11点ビハインドで始まった第4クォーター、ハーデンが出場しないままラッセル・ウェストブルック、テレンス・マン、ポール・ジョージ、ノーマン・パウエル、カワイ・レナードのスモールラインナップで猛追し、3点差となった残り2分でハーデンが戻る。ハーデンはすぐさま同点3ポイントシュートを沈めたが、その後は再び追い付くチャンスだった3ポイントシュートを外すなど良いところを見せられず。結局チームは101-105で敗れ、ハーデンは得失点差-28という不名誉な数字を叩き出した。

新加入選手だからチームに馴染むのに時間はかかる。しかし、ハーデンとともに加入したPJ・タッカーはこの日、ベンチから13分の出場で、スタッツは目立たないがグリズリーズの勢いを押し返す渋い働きを見せた。タッカーとウェストブルックが揃ってコートにいる時は、グリズリーズに負けないフィジカルとエナジーがあった。だがハーデンは、11得点4リバウンド3アシストとスタッツは悪くないが、勝つためのインパクトは何も残せていない。

指揮官のタロン・ルーは「グリズリーズの何でもハードにやる勢いに負けた。前半も後半も、出だしでやられてしまった」と語る。「どんな試合でも攻守に激しさを出していくこと。このメンタリティは選手たち次第で、それができなければ代償を支払うことになる」

ハーデンの低調なパフォーマンスについて指揮官は「まだ早い」と評価を避け、こうコメントした。「彼はアグレッシブにプレーしようとしているが、新しいチームに入ってきて上手くやるのは簡単じゃない。もっとコミュニケーションが必要だし、この試合でも私はカワイとラス(ウェストブルック)に伝えたのだが、ジェームズをもっと快適にプレーさせてあげなければいけない」

そしてハーデンは、「今日だけじゃない。ここ数試合、何が自分たちにとって正しいプレーなのかを探り、チャンスを生かそうとしてきた。ディフェンスもオフェンスも、すべては積み重ねだ。僕個人としては、チャンスが来た時には常にアグレッシブに、正しいプレーをしようと心掛けている」と言う。

「僕は一人じゃない。チームメートはみんな、一緒に問題を解決しようとしてくれていて、僕にポジティブなエネルギーを与えてくれる。間違いなく今の状況は厳しいけど、僕らはみんな一緒にこのチームにいて、この難局に向き合っているんだ。みんな勝ちたいから、負ければフラストレーションを感じるけど、勝利するためのバランスをどう見いだすかはシーズン全体で取り組んでいく課題だ。試合に勝つことも大事だし、もうすぐそこにたどり着くと思っているよ」

勝つために移籍を選択したハーデンにとって、この状況は予想外だし、フラストレーションの溜まるものだろう。クリッパーズに来て初めてのホームゲームで、彼は親しい人たちのために数十枚のチケットを手配していたそうだが、それも裏目に出てしまった。悪い流れをどう変えるか。クリッパーズにとってもハーデンにとっても、思いがけない苦境が訪れた。