ケリー・ウーブレイJr.

マクシーは勝利を捧げる「今日のすべては彼のため」

セブンティシクサーズのケリー・ウーブレイJr.は交通事故に遭い、しばらく戦線離脱となる。試合のなかった現地11月11日の夜、フィラデルフィア市内の自宅付近を歩いていたところ、自動車にはねられた。フィラデルフィア警察の報告書によれば、自動車のミラーがウーブレイJr.の胸に接触。救急搬送されたウーブレイJr.は、ろっ骨の骨折、腰と右足の打撲の治療を受けてすでに退院し、自宅療養に入った。なお、自動車は現場から走り去っており、警察が捜査している。

当初は「シーズン終了ではないが、かなり長い期間の戦線離脱となる」と報じられたが、もう少し短いもので済みそうだ。復帰までにどれぐらいの時間を要するかはまだ明らかになっていないが、数日後には練習を見学するところから復帰のプロセスを始められるという。シクサーズのヘッドコーチ、ニック・ナースは「彼は大丈夫。自宅でゆっくり休んでいる」とコメント。「彼は調子を上げていた。自分の殻を打ち破る必要があり、そのために必要なことはすべてやっていたのに、ここで事故に遭うなんて残念すぎる」

ウーブレイJr.はNBAキャリア9年目の27歳。6年目の2020-21シーズン、ウォリアーズで当時ケガで不在だったクレイ・トンプソンに代わる主力として活躍。ホーネッツと2年契約を結び、昨シーズンにはキャリアハイとなる20.3得点を記録している。

対人ディフェンスに強く、得点力にも非凡なものがあるウーブレイJr.が今夏にベテラン最低保証額での1年契約をシクサーズと結ばざるを得なかったのは、ケガの多さにある。若手だったウィザーズ時代には左手の親指、サンズ時代には右膝にケガで長期離脱を経験。自身の評価を最も高めたウォリアーズ時代にも、フリーエージェントを前に左手首の靭帯を痛めたことでシーズン全休となり、良い契約を得るには至らなかった。ホーネッツとの契約最終年となった昨シーズンもケガが多く、48試合の出場に留まっている。

シクサーズはジェームズ・ハーデンの退団を見越して、ウーブレイJr.を獲得した。ベテラン最低保証額を受け入れるような選手ではないが、勝てるチームではないホーネッツで2年間を過ごした後、優勝を狙えるチームで、ハーデンが背負う重要な役割を演じられることを魅力に感じてオファーを受け入れたのだろう。開幕後すぐにハーデンのトレードが決まると、ウーブレイJr.は先発に据えられて攻守にイキイキとプレーし、チームも絶好調だった。

不運に見舞われ続けてきたウーブレイJr.にとって、このタイミングでの交通事故、しかもひき逃げの被害に遭うのはツキがなさすぎる。コンディションを整えるのに時間はかかるだろうし、一度失ってしまった良いリズムを取り戻す必要もあるが、ケガが当初の想定より軽く済みそうなのは不幸中の幸い。そしてチームは彼が元気な姿で戻って来るのを待っている。現地12日、ウーブレイJr.抜きで迎えた最初の試合でシクサーズは好調のペイサーズを相手に137-126で勝利し、連勝を7に伸ばした。

タイリース・マクシーはキャリアハイを更新する50得点を挙げたが、勝利のインタビューで最初に語ったのはウーブレイJr.への激励だった。「今日のすべては彼のためなんだ。僕らみんなが彼のために祈っている。僕は彼のことが大好きなんだ。早く戻って来てくれることを願うよ」