「非常に恥ずかしい試合をしてしまったという感覚です」
11月8日、秋田ノーザンハピネッツはホームで仙台89ERSと対戦し、66-87で完敗した。
中山拓哉が負傷離脱し、先日には外国籍選手の入れ替えを行うなど、苦戦が続いている秋田だが、仙台戦はこれまでの課題のすべてが露呈した。オフェンスリバウンドからセカンドチャンスポイントを多く許し、頼みの綱の古川孝敏と田口成浩が揃って不発。彼らに続く選手のステップアップもなく、保岡龍斗が15分のプレータイムで5ファウルを犯すなど、問題視されているファウルの使い方も改善できなかった。
前田顕蔵ヘッドコーチは神妙な面持ちでこのように試合を総括した。「フロントの頑張りでこれだけたくさんの方が来てくれた中で、非常に恥ずかしい試合をしてしまったという感覚です。情けない内容だったと思います。選手を(上に)持って行けなかったこと、戦う気持ちが見れなかったことが非常に悔しいです」
収穫を挙げるとするならば、試合がほぼ決まった最終クォーターに小栗瑛哉が4本中3本の3ポイントシュートを沈め、王偉嘉も適切なプレーであきらめない姿勢を見せたことだろう。前田ヘッドコーチも彼らのパフォーマンスを評価したが、それは本来チームが求めている姿ではないと主張する。
「僕たちができないのではなく、やっていないだけのように思えてしまいます。31点差まで開いて、小栗選手が出てきて、王選手が出てきて彼らがハッスルする。いや、そうじゃないでしょうと。それぞれの無責任さというか、弱さが出た試合だったと思います」
「この1試合、このプレータイムに懸けていますか?」
バスケットボールはチームスポーツであり、一人が突出した力を持っていたとしても試合には簡単に勝てない。だが、チーム力は確かな個の力によって底上げされることも事実。そのため、一人ひとりが責任と自覚を持って真摯にプレーすることが大事であり、前田ヘッドコーチは現在のチーム状況を踏まえて持論を展開した。
「個人が弱いとチームとしても弱いので、どうやって勝てるかを突き詰めていかないといけません。僕自身も含めてそれぞれが頑張らないといけないところですが、途中でやめてしまったり、あきらめてしまうような雰囲気があります。それが気持ち悪くて、絶対に勝つんだという集団にしていかないといけないのは分かっているんですが、出せなかったことが悔しいです」
指揮官はこの大敗を選手だけのせいにせず、彼らの力を生かし切れていない自身の手腕にも問題があると、自分事としてとらえている。だからこそ『悔しい』という言葉を連呼する。そして、ホームのたくさんの観客に戦う姿勢を見せられなかったことを最も恥じて、選手たちへこう訴えかけた。
「今日、見に来てくれた人たちは気持ち悪い部分があったと思います。何を見せられているのか、勝つ気があるのかという。それがすごく情けなくて……。当たり前のように試合ができて、当たり前のようにプレータイムがあって、あと48ゲームできるとか、この1試合に懸けていないことすごく悔しいです。『この1試合、このプレータイムに懸けていますか?』と。それを見せれないとプロとして恥ずかしいですし、競争になりません。僕が『チーム』と言い過ぎていることをいいことに、選手たちがチームの後ろに隠れているのかどうかはよく分かりません。申し訳ないですけど、気持ちが見えない。そこが非常に情けないし、悔しいです」
今節はリーグ首位を走るアルバルク東京と対戦する。B1は今節を終えると、約3週間のブレイクに入るため、ここで浮上のきっかけをつかみたいところだ。もちろん勝敗は大事だが、難敵を相手に最後まで戦う姿勢を貫くことができるかどうかのほうが、現在のチームにとって重要なのかもしれない。