ウェンバニャマ育成について「答えを持っていると思い込まないように注意しなければいけない」
スパーズは現地10月29日に行われたクリッパーズ戦で、40点差の完敗を喫した。注目の大物ルーキーであるビクター・ウェンバニャマも、26分の出場で11得点5リバウンド5ターンオーバーと、百戦錬磨のベテランが揃うクリッパーズを相手に厳しい内容に終わった。
今シーズンのスパーズは、時には勝敗以上にウェンバニャマのパフォーマンスが注目される状況にある。これから何度も聞かれるであろう彼の育成について、グレッグ・ポポビッチヘッドコーチは試合後「答えを持っていると思い込まないように注意しなければいけない」と語った。
ただ、一方でポポビッチは、ウェンバニャマの成熟した人間性を信頼している。「自分の子供と一緒で、最終的にどのように育っていくのかは誰にもわからないものだ。ただ、この若者は、すでに多くの教訓を教えられ、何を優先していくべきかを理解している。彼は周囲の過剰な賞賛にも動揺することはない。この点について彼の両親はすでに仕事をしている。だから、私はそれを台無しにしないようにしなければいけない」
周囲のウェンバニャマ狂想曲に対して、ポポビッチは常に冷静な態度を崩さない。これまでの長年に渡る彼の振る舞いを見ていれば、それこそがポポビッチらしさであり、驚くことではないことがわかる。
ちなみに、ポポビッチはスパーズにとって記念すべきイベントとなったドラフトロッタリーを見ていなかったと明かしている。「実際、私たちが(抽選で)ドラフト1位指名権を獲得した時、イタリア行きの飛行機の中にいたんだ。チームは『なぜ』と疑問に思っていた。だけど、私が抽選でできることはない。抽選する機械の中に飛び込んで、(機械から出てくる)ボールを動かすことはできないよ」
ポポビッチは続ける。「だから、飛行機の中で眠っていた。そうしたら義理の息子が、私を起こして『1位指名権を獲得した』と言ったので、私は『それは良かった』と答えたんだ。それから、ビデオで彼(ウェンバニャマ)がどんな選手なのかを知った」
これからもウェンバニャマは多くの注目を浴び続け、スターを作ろうとする者による過剰な賞賛も少なくないだろう。しかし、ポポビッチが、そういった周囲の雰囲気に迎合することは決してない。指揮官のこのようはスタンスはウェンバニャマにとって大きな助けとなるだろう。