笹山貴哉

千葉Jを撃破し連敗ストップ、川辺HC「やりたいことを遂行して、結果に繋がりました」

ファイティングイーグルス名古屋は10月29日、アウェーで千葉ジェッツと対戦。リバウンドで46-32と上回るなどゴール下の争いで主導権を握ると、最後まで内と外のバランスの良いオフェンスを展開して88-73で勝利した。

FE名古屋は立ち上がりからトランジションを繰り出したことで、確率良くシュートを決めていく。さらに前から仕掛けるプレスディフェンスも機能すると、第1クォーターで28-17と先手を取る。第2クォーターに入ると、千葉Jはジョン・ムーニーがゴール下で存在感を発揮して、流れを引き寄せる。さらに不発だった外からのシュートも入ることで35-35と追いついた。しかし、FE名古屋は中村浩陸のスティールから速攻など、守備のギアを上げることで再び自分たちのペースに持ち込むと、6点リードで前半を終える。

後半に入ると、ともに譲らない一進一退の攻防が続き第4クォーターのオフィシャルタイムアウトでFE名古屋が72-69でリードと激闘が続く。だが、ここ一番でプレーの遂行力が落ちた千葉Jに対し、FE名古屋は粘り強いディフェンスに加え、ボールシェアによるチームオフェンスを徹底した。こうして、第4クォーターで千葉Jのフィールドゴールを18本中3本成功に抑え、21-9とビッグクォーターを作ったFE名古屋が前日に敗れたリベンジ達成で連敗を4で止め、5勝4️敗としている。

FE名古屋の川辺泰三ヘッドコーチは「チームとしてやりたいことを遂行して、結果に繋がりました。昨日はできなかったところをしっかりできたのは良かったと思います」と振り返る。

そして、中でも次の部分が勝利に繋がったと語る。「自分たちはディフェンスからトランジションを出すチームです。今日はリバウンドで大きく勝ち、ファストブレイクで19得点を挙げられました。守備ではボールマンへ激しいプレッシャーをかけ、タフショットを打たせることを目指しています。その中で富樫(勇輝)選手を全員で追いかけることで、3ポイントシュートを11本中1本の成功に抑えることをチームとして達成できました」

この試合のFE名古屋は、特に第4クォーターでの安定したゲーム運びが光り、それに大きく貢献したのが司令塔の笹山貴哉だった。22分23秒出場で7得点4アシストを挙げた笹山だが、第4クォーターは10分フル出場に加え、残り3分半にジャンプシュートを沈めると、さらにトランジションで相手守備の隙を見逃せないナイスアシストで川嶋勇人の得点を演出。残り3分でFE名古屋が3ポゼッション差となる8点リードと、一気に突き放す原動力となった。

笹山貴哉

「僕たちが何を頑張るのかといえば、リバウンドだったりルーズボールといった泥臭いところ」

「昨日、僕たちの目指しているバスケットである激しいディフェンスから入ることができず、千葉さんにやりたいようにやられてしまいました。今日はインテンシティ高く入り、流れが悪い時でもそれを継続できました」

このように試合を振り返った笹山は、ディフェンスでつかんだ勝利と強調する。「最後、僕たちが何を頑張るのかといえば、リバウンドだったりルーズボールといった泥臭いところです。今日はフィフティフィフティのボールを取り切れたのが、勝ち切れた要因の一つだと思います」

かつて名古屋ダイヤモンドドルフィンズで先発を務めるなどB1での実績十分な笹山は、チーム3年目の今シーズンからキャプテンに就任した。名実ともにリーダーとしてチームを牽引する立場となり、自身の担うべき役割をこう語る。

「みんながフラストレーションを溜まることなく、やりたいようにやれる環境作りを目指しています。その中で、『自分が』という我が出てしまう選手がいた時でも、チームの和が乱れないようにしっかりとコントロールする。難しいですが、チーム全体として良いバランスが取れるようにしていきたいです」

そして、まだまだ発展途上ではあるが、今シーズンにおけるチームの進化において「これまで足りない部分でもあった、勝負どころを共有できるバスケットIQの部分が高くなっていると思います」と見ている。

この部分で、特に大きいのは新戦力である川嶋勇人の存在と笹山は語る。「川嶋選手のようなIQの高い選手がいることで、僕もすごくプレーしやすいです。勝負どころの部分で、みんなが同じようなIQを持てるようになりたい。若い選手には、特にそういうところを学んでほしいです。僕もこの部分についてしっかり声がけし、今日みたいにプレーでも示していきたいです」

現在のFE名古屋は、インサイドの中心選手であるエヴァンス・ルークが故障離脱中。彼がいないため、外国籍選手を3番ポジションで起用できるアドバンテージを生み出せていない。その苦しい中でも強豪の千葉J相手に連敗を止められたことは大きな価値がある。川辺ヘッドコーチは言う。「抜けないトンネルはないと思いますが、できるだけ早く抜けた方がいいです。11月のホームゲームでは今日できた我慢強く、インテンシティの高い成長した姿を見せられるようにしたいです」

これからリーグが一時中断となる11月中盤まで、FE名古屋はホーム5連戦となる。平日ゲームも入る過酷なスケジュールの中、ずっとホームで戦えるのは移動もなくコンディション面で大きなプラスだ。逆に言えば、上位戦線に食い込んでいくには、ここで確実に貯金を増やしていかないといけない。そのためには、この試合で見せた質の高いプレーを継続することが欠かせない。

 

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