CJ・マッカラム

父親としてのオフも満喫「人生で最高の贈り物」

昨シーズン前半戦、ペリカンズはザイオン・ウイリアムソンの大活躍でリーグに旋風を巻き起こした。ザイオンがケガで戦線離脱すると失速し、ザイオンの復帰は実現せず、チームがシーズン序盤の勢いを取り戻すこともなかった。プレーイン・トーナメントに進むもサンダーに敗れてシーズンを終えている。

今シーズンも期待値は高くない。ザイオンとブランドン・イングラム、CJ・マッカラムとチームのコアは変わらないが、最大のスターであるザイオンは今が元気であっても、シーズンを通して健康を維持できないと誰もが思っている。NBAに来て4年が経過したが、フル稼働しいたシーズンは一度もない。特に長いレギュラーシーズンの後、プレー強度が上がるプレーオフでザイオンが活躍するという見立ては甘すぎる。かくしてペリカンズは「興味深いが期待はできない」と見られ、それは開幕戦でザイオンが23得点7リバウンド3アシストとオールラウンドな活躍を見せた後も変わらない。

しかし、CJ・マッカラムは大きな期待とともにシーズン開幕を迎えている。「このチームには可能性がある。すべては僕ら次第なんだ」と彼は言う。ザイオンが29試合にしか出場できなくても勝率5割を超えた昨シーズンを経て、ペリカンズには上積み要素しかない、というのがマッカラムの考えだ。

昨シーズン、ザイオンが離脱した後のチームを引っ張ったのはマッカラムだった。右手親指の腱を痛めていたが、手術を3カ月間先送りにして最後まで戦い続けた。オフは手術とリハビリからスタートし、回復した後もニューオリンズに残ってトレーニングに明け暮れた。

「プレーオフに出られなかったのは初めてだから、長いオフになった。オフに入ってすぐ手術をして、身体を休め、気持ちもバスケから一度距離を置いた。でも、リハビリが終わるとすぐに練習を始めて、きっちりスケジュールを組んで身体を作ってきた。身体を動かし始めてからは週6、1日3回のワークアウトをこなしてきたんだ」

バカンスに行くことなくニューオリンズで過ごしたのは、家族の理由もある。長男は1歳になり、間もなく娘も生まれる予定。ハードな練習を重ねながら、オフにしかできない夫と父親としての役割もこなした。

「夜中、薄暗い中でのオムツ交換が上手くなった」とマッカラムは笑う。「子供を持つことで人生の意味が変わったよ。父親になったことは人生で得られる最高の贈り物だと思う。バスケと両立させるのは大変だけど、これまでで最高の経験ができている」

新たなモチベーションを得て開幕に臨むマッカラムは、「チームにとっても良い年になると思っているんだ」と話す。「昨シーズンの自分たちに何ができて、何が課題だったのか、全員が理解している。波が激しかったし、停滞すると立ち直るのに時間がかかった。そこが修正できないんだから、プレーオフに進む資格はなかった。今度は違うやり方で、安定して高いレベルのプレーをしたい。どの選手からも、失敗した過去を乗り越えてポジティブな変化を起こす意欲が感じられる。トレーニングキャンプ開始からここまで、すごく良いステップが踏めている」

世間の過小評価をマッカラムは気にしていない。チームが、そして自分自身が長いオフと開幕までの間にやってきたことに自信を持ち、新たなシーズンに挑む。