栃木ブレックス

文=丸山素行 写真=鈴木栄一

終盤のパフォーマンスに明と暗

栃木ブレックスvs川崎ブレイブサンダース第2戦。第1戦を残り2秒の逆転劇で制した栃木が、再び終盤で勝負強さを見せ、68-57のロースコアゲームを制した。

序盤はともに激しいディフェンスで簡単にシュートを打たせない膠着状態が続く。開始から8分が経過して5-4。超ロースコアの展開になったが、オフェンスリバウンドやスティールなどポゼッション数で上回り、終盤に比江島慎が両チーム通じて最初の3ポイントシュートを沈めた栃木が11-5とリードした。それでも第2クォーターに入ると川崎が反撃。バーノン・マクリンがオフェンスリバウンドから連続得点、ニック・ファジーカスもこのクォーターで12得点を挙げる。

後半立ち上がり、川崎はジェフ・ギブスの速攻、ライアン・ロシターと遠藤祐亮の3ポイントシュートを浴び、0-8のランを受けて2桁のビハインドを背負うも、タイムアウトでディフェンスを修正すると、藤井祐眞が自らのスティールからこの日初の速攻に繋げてチームに勢いが出る。8本中7本のフィールドゴールを成功させ15得点の荒稼ぎを見せたマクリンの活躍もあり、川崎が一気に逆転して最終クォーターを迎えた。

その後も一進一退の攻防を繰り広げ、55-52と川崎がリードしてオフィシャルタイムアウトを迎えた。だが、ホームの栃木はここから持ち味の勝負強さを発揮する。

栃木ブレックス

ラスト4分間を13-2と圧倒した栃木

渡邉裕規が3ポイントシュートを沈めて同点に追い付くと、直後のディフェンスでファジーカスから個人4つ目のファウルを誘発。ここを勝負どころと捉えた栃木は、ディフェンスのギアを一段上げた。

川崎の北卓也ヘッドコーチに「栃木さんは勝負どころが分かっていると思います。ここでディフェンスのスイッチを入れれば自分たちの流れを持ってこれるというのを感じました」と言わしめた、栃木のここ一番での勝負強さが出る。

前線からプレッシャーを掛け続け、ボール回しを停滞させる。ショットクロックわずかなところからタフショットを打たせ、確実にリバウンドを取り、良いオフェンスへと繋げた。遠藤がレイアップ、3ポイントシュートを沈め、8-0のランで60-55と逆転した栃木は、その後もディフェンスの強度を落とさず、主導権を握り続けた。

追いかける川崎は辻直人が3ポイントシュートを狙うも外れ、頼みの綱のファジーカスもロシターのディフェンスの前に沈黙。それでもディフェンスで粘ることで5点差で耐え、勝機を見いだそうとしていたが、残り38秒、速攻を止めようとしたマクリンがアンスポーツマンライクファウルを取られたところで勝負アリとなった。

オフィシャルタイム後の川崎オフェンスをわずか2点に封じ、ラスト4分間で13-2と圧倒した栃木が、第1戦に続き逆転勝利を収めた。

バーノン・マクリン

北コーチ「どう感じて、これをどう生かすかが大事」

勝利した栃木の安齋竜三ヘッドコーチは「ディフェンスのところで、ゲームプランを40分間遂行してくれた。昨日やられたピック&ロールのところをアグレッシブにして、選手がそれを最後までやり続けてくれた」と、川崎を57点に封じたディフェンスを勝因に挙げた。

初戦に続き、栃木の終盤の勝負強さが光ったゲームとなり、安齋コーチも「今シーズンは、ああいう局面でかなり集中したディフェンスができている。最後に出しているメンバーは本当に信頼しています」と、選手を称えた。

一方、敗れた川崎の北コーチは潔く完敗を認めた。「悔しいですけど、完敗。第4クォーターまでは良いゲームをするんですが、第4クォーターのどこかで離される。そこで自分たちでミスして走られてというのが続いているので、どう感じて、これをどう生かすかが大事です」

また、57得点のうちマクリンが31得点、ファジーカスが16得点という得点のバランスについても言及した。「栃木さんは1対1のディフェンスも強いですし、今日はそこで打開できる選手がいなかった。1対1で点が取れたのはバーノンだけで、これだと勝つのは難しい」

劣勢でも、試合をひっくり返す底力があることを証明し、勝負強さを見せ、栃木は対川崎戦4連勝を達成した。「目指すところは一つしかない」と安齋コーチが話したように、栃木はこれからも頂点だけを見据える。