ジョナサン・クミンガ

プレシーズン3試合で平均26.0得点と大活躍

ジョナサン・クミンガにとって昨シーズンのプレーオフは『悪夢』だった。NBA2年目、レギュラーシーズンではベテランの多いチームをエナジー満点のプレーで支えて20.8分まで伸ばしたプレータイムが、プレーオフになると6.1分へと激減。真剣勝負のプレーオフでコートに送り出すだけの価値がないと宣告されたようなものだ。

レイカーズと対戦したカンファレンスセミファイナルでは6戦のうち2試合で出番なし。チームが敗れてシーズンが終わると、クミンガは3日間だけ身体を休め、そこからワークアウトと試合ができる場を求めて世界のあちこちを巡った。

クミンガは言う。「僕のやり方をおかしいと指摘する人もいたけど、休むつもりはなかった。この時期に自分を成長させなきゃいけないと痛感していたし、シーズンの最後はほとんどプレーできなかったから、力がありあまっていた」

誰よりも準備万端でトレーニングキャンプに現れたクミンガは、プレシーズンゲーム初戦からフル回転。ここまで3試合で平均28分のプレータイムを得て、26.0得点、5.6リバウンド、さらには3ポイントシュート成功率47.1%と素晴らしいパフォーマンスを見せている。

3度目の開幕を迎える彼は「今までよりずっと落ち着いている。でも、まだまだ僕には課題が多いから、毎日できる限り多くを吸収して学んでいきたい。そうすることでより良いプレーができるようになるし、出場機会も増えていくだろう」と話す。

他のどんなチームよりも、ウォリアーズは若手の台頭が難しい。『王朝』を築いた主役たちは年齢を重ねても衰えず、彼らにしか分からない阿吽の呼吸でプレーしており、若手が本当の意味でそこに加わるのは不可能だ。チームは世代交代を掲げて多くの若手を試したが、そのほとんどが去っていった。それでもクミンガは飽くなき向上心を持ち続け、このチームで3年目を迎えている。

「自分の力を見せるつもりでNBAに来たのにコートに立てない状況は苦しいものだけど、そこは我慢して努力を続けなきゃいけない。自分が思っていたよりずっと出場機会が少ないという現実を知ることも、若い選手にとっては成長のきっかけになる。高校や大学、Gリーグの経験だけでバスケを知っているつもりなら大間違いなんだ」

ウォリアーズを率いるスティーブ・カーはクミンガの成長について「スクリーンをセットしてからダイブするタイミング、ハンドオフのタイミングを見極めてチームのオフェンスを繋ぐこと。これらは時間と経験とともに身に着くものだ。彼は良いトレーニングキャンプを過ごしている」と語る。どんなに才能があっても、すぐに通用するとは限らない。粘り強く努力を続け、才能を引き出していく。ウォリアーズとクミンガのこの作業は、3年目の今シーズンに花開くかもしれない。

「いつも笑顔でいたいんだ」とクミンガは言う。「感情をコントロールするのが難しい時もあるけど、そんな時でも自分がどれだけ恵まれた立ち位置にいるのかを忘れず、どんな状況でも前向きに努力を続けるんだ」