前田悟

今オフ、京都ハンナリーズは実に9選手が新加入と大幅なロスター再編を実施した。その結果、それぞれが光る武器を持った個性豊かな日本人若手選手、Bリーグでの経験豊富な外国籍選手を主体とする楽しみなメンバーとなっている。2年目を迎えるロイ・ラナヘッドコーチの下、ダークホースとして注目を集める京都をチームリーダーとして牽引する前田悟に意気込みを聞いた。

予想外の日本人最年長も「リーダーの役割を担うのは間違いなくプラスです」

――まず、京都を新天地として選んだ理由を教えてください。

ロイコーチ、渡邉(拓馬)GMと松島(鴻太)社長にすごく熱心にお誘いいただきました。そして京都は『共に、登る。』というチームスローガンを掲げていますが、3人の話を聞いてチームが登っていくビジョンが見えました。この2つから、すごくワクワクすると感じて決めました。

――まだ、一緒に過ごした時間は短いですが、ロイコーチはどんな印象ですか。

細かいですし、すごく厳しいコーチです。そして、日本人選手、外国籍選手に関係なく平等です。みんなに同じ勢いで怒りますし、誰に対してもよくコミュニケーションを取ります。試合が終わった後や移動の時、個人的に話をすることもあります。すごく関係を深めることができるコーチだと思います。

――京都で求められている役割も、これまでと同じくシューターの部分が大きいですか。

そうですね。空いたらシュートを打って得点を取ることは大きな役割です。そして、アウトサイドの外国籍選手も増えているので、彼らを守っていくことも仕事になります。3&Dで活躍して、同じタイプの須田(侑太郎)さんのように日本代表に呼ばれるポジションを狙っていきます。

また、日本人選手では最年長なので、今までと比べても自分から率先して声をかけるなどまとめ役も意識しています。新しく入団する選手の中では早くチーム加入が決まっていたので、これから自分より年上の選手が来てくれたら良いなとは思っていたところはありました。まさかこんな若いチームになるとは想像していなかったです(笑)。ただ、こうしてリーダーの役割を担うのは素晴らしい経験であり。自分にとって間違いなくプラスです。

前田悟

「チームとして大事にしていきたいのは壊れないことです」

――ロスターの半分以上が新加入選手となると、当然のようにチームとしてまとまるのに時間はかかります。直近の公式戦である天皇杯2次ラウンドでは群馬クレインサンダーズに69-86と大差で敗れました。ケミストリーが生まれるまでに時間がかかる点をどう考えていますか。

13人中9人が変わり、ロイコーチがワールドカップ(エジプト代表のヘッドコーチとして出場)から合流して間もないことはありましたが、天皇杯はオフェンス、ディフェンスともに遂行力が低かったですし、開幕前でよかったという思いでした。コートに出ている5人全員が去年違うチームだったという時もあるくらいで、連携はまだまだです。それでうまくいかなくて暗い雰囲気になったり、流れが悪くなった時は、戦術どうこう以前にまずはハドルを組んでコミュニケーションを取ることが必要です。

チームとして大事にしていきたいのは壊れないことです。例えば連敗が続いたり、勝っても内容が良くない時に、みんながそれぞれ別の方向を向いてしまったらダメになってしまいます。みんなが同じ方向を見て、チームとしてのまとまりが壊れない。常にインテンシティの高いバスケットボールを続ける。その軸がブレなければ、連携などは試合を重ねるごとに構築していけると思います。

――前田選手は富山グラウジーズでプロ選手となり、平均2桁得点、3ポイントシュート成功率40%に近い好成績を2年続けて残しました。それが過去2シーズンは川崎ブレイブサンダースで出場機会も減り、苦しい経験をしたと思います。その中で何を学ぶことができましたか。

川崎はニック(ファージカス)、(藤井)祐眞さん、マット(ジャニング)と3ポイントシュートが入る選手が多くいました。ただ、それでも3ポイントシュートを自分の武器としてこだわることは、曲げてはいけないと強く思いました。実際、自分が打てると思っていても空いていた他の選手にパスを出していた時より、自分で打っていた方がパフォーマンスは良かったです。自分の芯となる部分はブラさずに、得意の3ポイントシュートで相手に恐れられる存在にもう一度なりたいです。

また、ディフェンスでは長谷川(技)さんのIQの高いプレー、篠山(竜青)さんのリーダーシップとすごく学ばせてもらうことが多かったです。川崎での2シーズンは決してネガティブなことばかりでなく、技術だけでなく人間としての考え方などでもすごく成長できました。キャリアにとって間違いなく必要な経験ができたと思います。

――ホームの開幕節はホームでの横浜ビー・コルセアーズ戦で、すでにチケットは完売と注目度も高いです。それを意識せず60分の2という位置付けなのか、どういう風に開幕節を捉えていますか。

間違いなく大きな意味を持つ2試合です。すぐチケットが完売したのは横浜さん、河村選手の人気だけでなく、今シーズンの京都がファンの皆さんから期待されているからだと思っています。注目の横浜さんから連勝できれば、京都の存在を大きくアピールできるので大きなチャンスです。そして、大切なのは相手ではなく、自分たちのやるべきことにフォーカスすること。連勝することで大きな勢いをつけられるので、しっかりと気合いを入れてやっていきます。

 

 

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