攻撃力は申し分なし、課題は3ポイントシュートのディフェンスか

2022-23シーズン、カイル・ミリングヘッドコーチ2年目にしてクラブ初のチャンピオンシップ出場を果たした広島ドラゴンフライズは、次なるステップアップのため『補強』ではなく『継続』を選択した。外国籍選手およびアジア枠選手の入れ替えを行っていないのは、B1からB3の全クラブのうち広島のみ。日本人選手についても8名中6名と契約継続している。

昨季の広島は、ターンオーバーを含む1回の攻撃で期待できる得点を表す得点期待値が「1」を超えるニック・メイヨ、ケリー・ブラックシアー・ジュニア、ドウェイン・エバンス、カイ・ソットを筆頭とした攻撃的な布陣で、オフェンシブレーティング(100回攻撃したと仮定した場合の平均得点)でリーグ2位を記録。今オフは点取り屋の辻直人の移籍、ソットの腰椎椎間板ヘルニアによる離脱で攻撃力の低下が懸念されたが、全エリアで3ポイントシュートの決定率が40%を超えるシューター山崎稜を獲得。3ポイントおよび2ポイントの決定率が昨季をほぼ踏襲するラインナップとなった。

攻撃については申し分ないものの、課題はディフェンシブレーティング(100回攻撃されたと仮定した場合の平均失点)リーグ13位という数字から導き出される通り、ディフェンスである。インサイドのディフェンスは堅いものの、リーグで3番目に3ポイントシュートを打たれる割合が高い上に、その被決定率は33%超。要はシュート1本に対して平均1点以上取られており、相手に効率良くシュートを打たれていた。

これはあくまで私の印象に過ぎないが、広島はピック&ロールに対してボールマンを重視したドロップディフェンスを多用する傾向があるため、ロールマンへのパスが通ると、そこからコーナーディフェンスが引き出されるなどズレが発生し、ワイドオープンスリーを打たれることが多い。その結果、ロールマンがフリーになるためディフェンスリバウンド獲得率がリーグ17位と低迷しているのではないかと予想している。高いディフェンス能力を持つアイザイア・マーフィーや船生誠也をローテーションディフェンダーとして作り上げるのか。そもそも戦略を変更するのか。今シーズンの広島はディフェンスでも目が離せない。

辻の離脱により、3ポイント試投割合が大きく減少すると予想されるため(昨季ベースで35%→32%に減少)、昨季よりも2ポイントを取りに行く戦略になると予想される。船生とマーフィーを同時に起用して3ポイントシュートを防ぐことで、課題のディフェンスも解消したい。

所属選手一覧

『FP(ファンタジーポイント)最多日本人選手』

※FP(ファンタジーポイント)は、選手の活躍度合を計る指標となるポイント。各選手が実際の試合で記録した成績に応じて算出される。

寺嶋良
平均10得点、3.9アシストに加え、トップ付近の3ポイントシュート成功率が35%以上ある点はプライマリーハンドラーとして素晴らしい。ピックを使った直後にトップスピードとなるダウンヒルが魅力で、リムまわりのシュート成功率は驚異の75%、難しいと言われているシャローペイント(ペイントエリアのフリースローに近いエリア)からのシュートも52%と高く、ペイントに侵入させること自体が危険な選手である。出場1分あたりの効率性指標であるPERスタッツでは日本人選手第10位を記録している。

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【注目選手】

ロバーツ・ケイン
アースフレンズ東京ZからNCAA D1ストーニーブルック大へ進学。2年時に33試合に出場(うち22試合でスターター)した後、広島と特別指定契約しBリーグに復帰した。ドライブと得点パターンに磨きがかかっており、バンプステップからフェイダウェイ、フローターと多彩な得点パターンを持つ将来有望なスラッシャーである。

ケリー・ブラックシアー・ジュニア
出場58試合のうちスターターは29試合と途中出場が多いものの、平均15.4得点、8.0リバウンド、3.6アシストを記録。シュート成功率も2ポイント56%、3ポイント40%と高く、コーナー以外のエリアからの3ポイント成功率はすべてのエリアで35%を上回る。ポストアップ、ドライブ、3ポイントと選択肢豊富なオフェンス。ウィングススパンを利用したリムプロテクション能力と献身性。速攻の先頭を走る機動力。決して派手ではないが、現代のセンターが必要とするすべてを兼ね備えた、広島躍進を支える縁の下の力持ち。