「連覇は意識したが、プレッシャーはなかった」
2019年の天皇杯は千葉ジェッツの3連覇で幕を閉じた。ファイナルラウンドの3試合すべてが、終了直前までどちらが勝つのか分からない激闘だったことが示すように、今大会の千葉は接戦になっても踏ん張る我慢強さが際立っていた。
富樫勇樹の終了間際の決勝弾でオーバータイムの末に栃木ブレックスを振り切ったファイナルについても、苦しい時でもチームが崩れなかったことが一番の勝因だと石井講祐は語る。「10点差とかのリードを許した時、みんなで耐えて最小限に抑えられたことが大きかったと思っています。相手の流れも時も、しっかりついていって我慢することができました」
富樫の『ラストショット』にしても「最後は勇樹が打つかな、それで決めそうだなって思ってました(笑)。本当にしっかり決めてくれて良かった」とエースへの揺るぎない信頼があった。
3連覇のすべてを主力として経験している石井だが、「連覇は意識していました。でも、みんな変にプレッシャーを感じることはなかったです。良い意味で楽しんで大会に入ったと思います」と、自然体で大会に臨めたことが良かったと振り返る。
天皇杯3連覇について「全部うれしいんですけど、それぞれ違う感情があります。今回は点差的にも一番タフな試合で、勝ち切って取ったっていう感じです」と感慨を語り、3試合続けて難敵に競り勝ったところに大きな意義を感じている。「1試合目から強豪に競り勝って優勝できたのは自分たちの成長の証です。すごく自信になり、手応えとして大きいのかなと思います」
シュートに当たりが来なくても勝利に貢献できる存在に
石井個人としては、ファイナルラウンドの3試合とも3ポイントシュートで目立つことはなかったが、オフェンスでは的確な位置取りとパス回しでビッグマンが仕掛けやすいスペースを作り出すのを助け、ディフェンスでも要所で値千金のスティールを奪うなど、様々な部分で頼りになっていた。
「シュートはあんまり良くはなかったですけど、それ以外の部分でチームに貢献できる場面はあり、勝てたことは良かったです。シュートを一番求められていると思いますが、それ以外でも貢献できる部分を試合をしながら見付けて結果を出すことはできました。今後もシュートの調子が悪い試合でもしっかりとプレーすればいいという糧になってくるかなと思います」
千葉にとって今年の天皇杯は、自分たちのスタイルである『走る展開』が不発に終わっても勝ち切ることのできる、より揺るぎない強さを持っていることを示したトーナメントとなった。そして十八番である外角シュートが不発でも、やるべきことを的確に遂行し続ける。スタッツに出ない部分の貢献が大きい石井は、この崩れない千葉を支える縁の下の力持ちとして大きな存在であることをあらためて証明した。
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