アルバルク東京

文=鈴木健一郎 写真=鈴木栄一

A東京vs三河は、チームの成熟度の差が出る結果に

バスケットボール天皇杯のファイナルラウンドが今日からスタート。今日は男子の準々決勝4試合が行われている。

注目の対戦となった第3試合のアルバルク東京とシーホース三河の一戦は、予想外の一方的な展開でA東京が勝利した。序盤は互角の攻防となったが、誰がコートに出ても攻守に強度を落とさないA東京が、三河のセカンドユニットの時間帯にリードを奪う。三河は桜木ジェイアールにボールを集めるが、他の選手の得点が伸びずに桜木もフラストレーションを溜める展開に。

エーススコアラーの金丸晃輔が徹底マークされるのはどの試合でも同じ。しかしA東京は馬場雄大、ザック・バランスキー、菊地祥平とどの選手が出てもそれぞれの個性を生かして金丸をフィジカル的にもメンタル的にも削っていく。こうして三河の攻めはポストプレーと、そこからのパスアウトと単調なものに。インサイドでのポストプレーにしてもアレックス・カークと竹内譲次を中心とする堅守で容易にはチャンスを作れなかった。苦しい展開に集中力が続かない三河は第3クォーターで10-26と突き放され、そのまま挽回できずに完敗を喫した。

三河のストロングポイントであるインサイドの攻めを封じて勝利に大きく貢献した竹内は、準決勝に向けても自信を語る。「ウチは2年間ディフェンスを中心にやってきて、両方のチームに帰化選手がいて厳しい戦いになるとは思いますが、自分もこのチームで培ってきたものがあるので、持っている力を出したい」

A東京は土曜の準決勝で千葉ジェッツと川崎ブレイブサンダースの勝者と対戦する。

接戦での我慢比べで上回った栃木がSR渋谷に勝利

第1試合では栃木ブレックスがサンロッカーズ渋谷を相手に77-71で勝利。一発勝負とあってSR渋谷も立ち上がりからアグレッシブにプレーするが、攻守の強度で栃木が上回る。強烈なプレッシャーを要所で仕掛けて相手の勢いを止めてリードを作っていく。ただ、渋谷も簡単には引き下がらない。チームで作ったコーナースリーのチャンスを長谷川智也が決め、広瀬健太のスティールからの速攻、そして特別指定で加入したばかりの盛實海翔がデビュー戦のファーストタッチで3ポイントシュートを沈めるなど盛り返すと、後半に入ってリバウンドからの速攻でベンドラメ礼生がダブルクラッチ決めて逆転に成功する。

ただ、点差がなくなって我慢比べの展開になると、栃木が再び優位に立つ。接戦での我慢比べはまさに栃木の得意とするところ。プレッシャーの掛かる場面でSR渋谷にイージーなミスが出たのとは対照的に、攻守にチームバスケを遂行して突き放し、77-71での勝利を収めた。

28分のプレータイムで14得点とチームを牽引した鵤誠司は「オフェンスはまあまあでしたがディフェンスに問題もあって、ファストブレイクを多く相手にやられてしまっている。トーナメントを勝ち上がっていくごとに厳しくなっていくので、勝つことは良かったけど満足できる内容ではありませんでした」と、勝っても気を緩めることがない。

「僕たちはディフェンスのチームなので、1試合1試合で質の高い、激しいディフェンスをベースに。オフェンスではバランス良くリズム良く得点できるように。あとは気持ちの部分。勝ちたいという気持ちをいかに出せるかが大事」。そう語る鵤は、栃木加入2シーズン目で迎えた初タイトルのチャンスに静かに燃えている。「自分たちの持てる力を発揮すれば、行けるチャンスはあると思います。勝負ごとなので、勝ちにこだわってやっていきます」

京都は前半の失点を20に抑える堅守で大阪に快勝

その栃木と土曜の準決勝で対戦するのは京都ハンナリーズだ。今日の準々決勝では大阪エヴェッサを相手に69-51で勝利。前半の失点を20に抑えて、早々に試合の趨勢を決める快勝だった。2次ラウンドでは琉球ゴールデンキングスを破り、リーグ戦では直近の成績が5勝1敗と好調の大阪を相手に、見事に試合をコントロールした。

岡田優介は「プレーオフのつもりで戦っています」と、気持ちの勝利を強調。土曜の準決勝、栃木との対戦に向けて、次のように抱負を語っている。「栃木さんの方が戦力も試合前の評価も上だと思いますが、一発勝負なので。そこでやる自信はあります。栃木さんはディフェンスとリバウンドをアグレッシブにやるチーム。強い気持ちを持って立ち向かい、激しいプレッシャーを掛けられてもターンオーバーをしないことがカギになります」