富永啓生

ノーガードの撃ち合いによるハイスコアリングゲームがアップセットには必要!?

本日、FIBAワールドカップ2023が開幕する。今大会でアジア1位となり、パリ五輪出場を目標に掲げる男子日本代表だが、万全の準備で大一番を迎えられたとは言い難い。

世界と戦う上で一番の課題となるのはサイズ不足だ。八村塁はオフにレイカーズと高額契約を結び、新シーズンへの準備などを優先したことで大会を欠場することに。そして、207cmのサイズと抜群の跳躍力を備え、世界を相手にしてもリムプロテクターとして楽しみだった渡邉飛勇は、大会直前の負傷で無念の戦線離脱を余儀なくされた。

さらに、攻守において代表の2枚看板となるはずの渡邊雄太、ジョシュ・ホーキンソンはコンディション調整に苦しんできた。15日に行われたアンゴラとの強化試合で、右足首を捻挫した渡邉は続くフランス戦、スロベニア戦を相次いで欠場。ほぼぶっつけ本番で、今夜ドイツとの初戦を迎える。股関節の痛みを抱えていたホーキンソンは、15日のアンゴラ戦から実戦復帰を果たしたが、ゲーム勘は戻り切っていない。何よりも渡邊とホーキンソンの中心選手2人が、実戦で連携を磨く機会が皆無だったことは楽観視できるものではない。

日本代表は参加国の中でも3ポイントシュートを多投するチームであるが、上記の要因によってインサイドの守備力低下は避けられないことから、スモールボールにより特化する必要が出ている。サイズで勝る相手にインサイドでゴリ押しされて失点するのは、ある程度許容するしかないだろう。そのため、機動力の優位性を生かし、アップテンポな展開に持ち込み、3ポイントシュートを連発していく。乱暴な言い方をすれば、ノーガードの撃ち合いによるハイスコアリングゲームがアップセットには必要と言える。

この日本の目指す展開に持ち込むための鍵を握るのは、代表の中でも屈指のシュート力を誇る富永啓生だ。抜群のシュートレンジとクイックリリースを持ち、相手のマークが緩んだ一瞬の隙を突き連続してシュートを打ち切れる。ティップオフ直後から、富永が持ち前のクイックリリースからの3ポイントシュートを連続して決めることができるかどうかで、試合の流れが決まるだろう。

富永啓生

渡邊との連携にも不安なし「自分たちが引っ張っていけるように頑張っていきたい」

昼に行われた練習の後、取材に応じた富永は「とてもワクワクしている気持ちでいっぱいです。日本の代表のメンバーに入れなかった人たちの気持ちも背負い、100%の力を出していきたい気持ちです」と大一番を前にした心境を語る。

そして自身の3ポイントシュートの成否が試合の展開に大きな影響を与えると、強い責任感を持って臨む。「自分の役割である3ポイントシュートは、チームにとって大事になってきます。チームのために頑張っていきたいです。また、シュート以外のディフェンスのところでもアグレッシブにやっていきたいです」

強化試合ではチーム全体の3ポイントシュートが低調だったが、そこは良い意味で割り切っている。「練習中から確率良く決めることは意識してやってきています。あとは試合で決め切るだけです。できるだけノーマークになるように動いて、いつも通りのシュートを打っていきたいです」

また、実戦でほとんど一緒にプレーできなかった渡邊との連携についても「ここまで、なかなか一緒にプレーする機会がなかったです。ただ、去年のアジアカップで一緒にやらせてもらった時、やりやすさはすごく感じました。自分たちが引っ張っていけるように頑張っていきたい」と、不安を感じていない。

富永は無意識だったかもしれないが、『自分たち』と語ったところに、自分が日本代表を引っ張っていくんだという意志の強さが見える。トム・ホーバスヘッドコーチは、先週の強化試合において「80点以上のペースを作りたい」と語っていたがアンゴラ、フランス、スロベニア戦と3試合続けて80点未満に終わっている。80点の壁を越えるためにも、富永には3ポイントシュートで得点を量産し、チームに流れを引き寄せる活躍に期待したい。