バディ・ヒールド

「チーム一体となって犠牲を払った選手たちを誇りに思う」

先日まで行われていたパリ五輪最終予選への出場枠を争うプレ予選大会で大きなサプライズが起こった。

このプレ大会は、FIBAワールドカップ2023への出場を逃したチームを対象に各大陸別に行われたもの。ヨーロッパは2枠、アメリカ大陸、アフリカ、アジアで1枠を争う中、ヨーロッパからクロアチアとポーランド、アフリカからカメルーン、アジアでバーレーンが出場権を獲得。そしてアメリカ大陸では、バハマが世界ランキング4位のアルゼンチンを撃破して出場権をもぎ取った。

これまで国際大会での実績は皆無のバハマだが、今回のプレ予選大会ではディアンドレ・エイトン、バディ・ヒールド、エリック・ゴードンというNBA選手3人が集結。その結果、難敵アルゼンチンに対してグループリーグでの勝利(101-89)に続き、決勝でも第4クォーターに逆転して82-75と激闘を制し、五輪最終予選への切符をつかんだ。

この試合でも、やはりNBAトリオが大暴れ。決勝ではゴードンが27得点、エイトンが10得点21リバウンド、ヒールドが15得点5リバウンド3アシストを記録した。また、バハマの指揮を執ったのはウォリアーズでアシスタントコーチを務めるクリス・デマルコで、彼はESPNの取材に対して次のように選手、スタッフを称えている。

「バスケットボールに集中し、チーム一体となって犠牲を払った選手たちを誇りに思う。この時期はみんなオフシーズンだが、代表活動で家に帰れなかった。この大会はアルゼンチンがホスト国であり、彼らのホームで2度勝たないといけなかった。選手、スタッフ、サポートスタッフと、みんな素晴らしい献身だった」

NBAトリオのうち、ヒールドはワールドカップ2023の予選Windowにも出場するなど他選手たちと一緒にプレーしていたが、エイトンとゴードンはぶっつけ本番だった。2019年からバハマ代表のヘッドコーチを務めるデマルコはこう振り返る。

「彼らはお互いのことを知っていたが、我々はチームとして団結し、何をすればうまくいくのか見つける必要があった。ゲームは机上の計算通りにはならない。『彼はNBA選手で、だから試合に勝つだろう』と言う人々もいる。けれど、それは違う。NBAとFIBAは違うゲームだ。そして対戦相手の国に行き、アウェーの会場で今夜のように盛り返して勝つのは大変なことだ」

出場24カ国を4つのグループに分け、1位チームがパリ五輪出場権を得る五輪最終予選はヨーロッパの強豪国も多く出場し、これまで以上に厳しい戦いとなる。それでも、エイトン、ヒールド、ゴードンの3人が集結すれば、バハマが再びサプライズを起こす可能性は十分にあるだろう。