フィールドゴール成功率の高い堅実な得点パターンが武器
前回大会で日本はモンテネグロ相手に善戦したものの、ニコラ・ブーチェビッチがコートに立った25分間で21点もの差を付けられ、NBAのオールスタークラスの選手がいる恐ろしさを痛感させられました。しかし、モンテネグロから見ると、この日本戦が唯一の勝利となり、苦い思い出が残る大会でもありました。
昨年のユーロバスケット、そしてワールドカップ予選はブーチェビッチ抜きでの戦いとなりましたが、ガードのケンドリック・ペリーがエース級の仕事を見せ、チームを牽引してきました。モンテネグロはコンビプレーが上手く、センターがパスを引き出してゴール下でフィニッシュするのが一つのオフェンスパターンでしたが、ガードにペリーやアルバルク東京でプレーしたジャスティン・コブスが個人での突破力を加え、オフェンス力が向上しています。
個人技にしてもコンビプレーにしても、インサイドにアタックしてのシュートがメインで、フィールドゴール成功率の高い堅実な得点パターンが目立ちます。しっかりとスペースを作るポジショニングから、ドライブやカットプレーで飛び込んでいく形は止めにくく、予選ではフランスを破るアップセットも演じています。
ここに絶対的エースであるブーチェビッチが加わると、どんな化学反応を起こすのか楽しみですが、絶対的な実力を持つ選手が加わることでバランスが崩れ、連係ミスが起こりやすくなることもあります。
ここ数年はブーチェビッチ抜きでのチームを作ってきただけに、大会直前の短い期間で『異分子』を融合させるのは簡単ではありませんが、融合がなくては勝ち進むことはできません。ブーチェビッチとの連携をできる限り高め、チームとして機能させることが、モンテネグロ躍進の条件になります。
今大会は初戦でメキシコと対戦します。メキシコはベテラン揃いでチームとしての完成度が高いチーム。インサイドでイニシアチブを取るモンテネグロと、3ポイントシュートで攻略してくるメキシコという対照的なオフェンスとなりますが、モンテネグロにすればディフェンス面の連動が重要です。前回大会の苦しみを繰り返さないためにも、チームの完成度を高め初戦を勝ち切ることで、波に乗りたいところです。