スロベニア代表

国際大会が毎年続く中、今年もドンチッチは代表に参加

3カ国共催の今回のワールドカップにおいて、開催国の特権として1チームだけ沖縄で試合するチームを選ぶことができる中、日本が選んだのはスロベニアでした。2021年の東京オリンピックに昨年のユーロバスケット、そして来年のパリオリンピックと国際大会が続くスケジュールにおいて、多くのNBAプレーヤーが休養を選択していますが、スロベニアのエース、ルカ・ドンチッチはコンディションを整えて沖縄にやって来ました。

昨シーズンのドンチッチはNBAで唯一ボールを保持している時間が9分を超えるプレーヤーで、個人技で打開していくタイプの司令塔ですが、スロベニア代表ではプレーメークをチームメートに任せる時間もあり、コーナーでのシューター役やポストアップでインサイドを担当するなど、より多彩なプレースタイルを披露します。今大会はもう1人のNBAプレイヤーであるブラッコ・チャンチャーがケガで欠場のため、よりインサイドでの仕事が増えるかもしれません。

ドンチッチを除けばスロベニアは得点バランスの良いチームで、ガードにはゾラン・ドラギッチやクレメン・プレペリッチがイマジネーション溢れるプレーメークから得点とアシストで活躍し、センターのマイク・トビーが堅実なインサイドで得点を重ねていきます。また今大会は帰化選手のジョーダン・モルガンもロスターに名を連ね、パワフルなポストプレーが新たな武器になりそうです。

強力な個人技もあれば、鮮やかな連携もあるオフェンスは世界のトップである一方で、ディフェンスがスロベニアの課題です。チームとしては的確なローテーションディフェンスで連携していくものの、フィジカルなプレーに苦しむことが多く、個人のマッチアップで止めきれるかが課題になっています。特にブロック力のあるチャンチャーが不在のため、インサイドにはこれまで以上に不安が残ります。

カーボベルデ、ジョージア、ベネズエラのグループFは、スロベニアにとって楽な組み合わせになりました。中1日での試合が続き、決勝トーナメントに進めばフィリピンへの移動もあるタフなスケジュールだけに、エネルギーを温存して戦えるに越したことはありません。ドンチッチに過度な負担をかけることなくグループリーグを戦い、アドバンテージを持った状態で2次リーグに臨めそうです。

マークが厳しくなればなるほど鮮やかなパスを通し、オーバーヘルプを仕掛けづらくすることで、ドンチッチは最終的に1on1の状況を作り、そして試合終盤の勝負強さで勝利をもたらします。スロベニアが決勝トーナメントを勝ち上がるために、ドンチッチが個人で違いを作り出すことが欠かせないからこそ、ドンチッチの負担をいかに軽くできるかが重要となります。