三河の強力インサイドを封じ、オフェンスへとつなぐ
『オールジャパン2017』男子準決勝の第2試合、千葉ジェッツはシーホース三河と対戦した。
序盤は互いに相手の強みを消し合い、プレッシャーを受けながら放つシュートがリングに弾かれ続ける重い展開に。それでも13-13で始まった第2クォーターから千葉が抜け出す。ヒルトン・アームストロングを中心に、タイラー・ストーン、小野龍猛が我慢強いディフェンスで圧力をかけ続け、三河が誇る強力インサイド陣のアイザック・バッツ、桜木ジェイアール、ギャビン・エドワーズの3人を0点に抑え込んだ。
強固な守りはオフェンスに良いリズムを生み出す。高さとパワーではバッツに劣るストーンだが、スピードを生かしてリングへアタック。さらには小野が高さのミスマッチを突いて得点を重ねる。第2クォーターの最後には原修太が2本目となる3ポイントシュートを沈め、37-26とリードして前半を折り返した。
後半に入っても千葉は確実なシュートチェックを続け、三河に付け入る隙を与えない。そして大野篤史ヘッドコーチが試合後に「ディフェンスからオフェンスのテンポを出す」と語った『千葉のバスケット』を展開する。
オフェンスにテンポをもたらしたのは富樫勇樹だ。コートを縦横無尽に駆け巡り、素早いトランジションから速攻を繰り出す。ピック&ロールから自慢のスピードで相手を翻弄し、この第3クォーターで8得点3アシストを記録。59-41とリードを広げて最終クォーターへ突入した。
それでも第4クォーターに入ると、三河のシュートに当たりが出始める。比江島慎が素早いトランジションからバスケット・カウントをもぎ取り反撃の足がかりを作ると、バッツとエドワーズがようやく千葉のディフェンスを攻略してインサイドでの得点が出始め、さらには金丸晃輔が強引に3ポイントシュートをねじ込む。
それでも千葉は石井講祐とストーンが3ポイントシュートを沈め、小野がいぶし銀なポストプレーで加点。三河に行きかけた流れを呼び戻す。残り1分、比江島のシュートで75-68と7点差まで迫られるも、その後のファウルゲームを難なくやりすごし、81-75で決勝進出を決めた。
「ディフェンスからオフェンスのテンポを出す」バスケを展開
富樫がゲームハイの21得点を挙げ、8リバウンド6アシストと存在感を放った。ストーンが15得点、小野が13得点と続いた。また2桁リバウンドが誰もいないにもかかわらず総リバウンド数で三河を上回り、チームとしてのリバウンドを押さえる意識が数字にも現れた。
大野コーチは「高さのある三河に対し、ビッグマンだけではなく富樫や石井も積極的に絡んで、フィフティフィフティのボールを取りました」と勝因を振り返る。チームの成長については「アドバンテージをチームとしてどう生かすか、ディスアドバンテージをどうカバーするかができるようになってきました」と語った。
キャプテンの小野は試合をこう振り返る。「激しくディフェンスしてリバウンドを取った結果です。自分たちがアタックして、空いたところをシューターが狙う。富樫がうまくリードしてくれてオフェンスに流れができているので、僕はキャプテンとして別のところを。ローテーションがうまくいっているのも声が出ている結果です。ベンチからも声が出ている。まだ波があるので、悪い時こそ自分が先頭になって声を掛け合っていきます」
三河にとってはシュートが入らない厳しい展開で、なかなか隙を見せない千葉を攻略できなかった。シュートタッチが悪いながらも20得点を記録した比江島は終盤の猛追について「第4クォーターで18点差だったので厳しいなと思いましたが、あきらめたわけではなく攻め気でいました」と説明するが、千葉の背中は遠かった。
決勝へと駒を進めた千葉は明日、川崎ブレイブサンダースと対戦する。大野コーチはディフェンスが鍵を握ると語った。「我慢しなきゃいけないところはディフェンス。ディフェンスして攻撃に繋げるところを40分間続けられるか」
『オールジャパン2017』の覇者が決まる明日の決勝戦は代々木第1体育館で14時ティップオフだ。
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