ポール・ジョージのサンダー残留に大きな反響
2018年のオフにフリーエージェントになったポール・ジョージが、サンダーとの再契約を決断したことは、サプライズとして大きく報じられた。なぜなら、2017年にペイサーズからサンダーにトレードされたジョージの周辺では、サンダーに1年だけ所属した後に、地元ロサンゼルスに本拠地を構えるレイカーズに移籍することが既成事実のように報じられていたからだ。
NBAでは、ジョージのような大物フリーエージェント選手であれば、商業的に大きな都市に本拠地を置く球団に移籍する方が、選手にとっても経済的なメリットがあると言われている。そして、オクラホマシティは、NBAの球団を擁する都市の中で最も小規模な街の一つとして知られている。だからこそ、ジョージのサンダー残留は大きな反響を呼んだ。しかし、ジョージのチームメートであるラッセル・ウェストブルックは、市場規模の大きさは関係ないと考えているスター選手の一人だ。
1月2日のレイカーズ戦前に、小規模な市場のチームに所属することが不利になり得ると思うかを聞かれると、彼は「そういう話は信じていない」と答え、自論を展開した。
「小規模な市場がどうとか、そういう話は信じていない。現代はソーシャルメディアの時代で、どこにいたって、やるべきことをやっていれば周りに知られるようになる。それが自分の考え。自分は、キャリアを通じてオクラホマシティでプレーしている。光栄なことに、ある時期には、3本か4本、テレビのコマーシャルに出演することだってできた。自分の周りの出来事に困惑した時もあった。ただね、どこにいても、自分がやりたいことはできるんだよ」
「自分にしてみれば、周りから小規模な市場のチームに行ったと言われたって、関係ない。やるべきことをやっていれば、どこにいたって、周りに知られるようになる」
キャリア11年を通じてサンダーでプレーし続けているウェストブルックは、NBAを代表するスーパースターとなり、コート内外で数々の成功を収めている。ここ2シーズン続けて『平均トリプル・ダブル』という偉業を成し遂げたばかりか、2017年にはシーズンMVPも受賞。現代の『ミスター・トリプル・ダブル』としての立ち位置を不動のものにした。
彼が言うように、所属チームの本拠地の規模の大小にかかわらず、結果を残している選手は正当に評価されるべきだ。もちろん、全選手がウェストブルックと同様のスターダムを手にできるわけではないが、少なくともジョージは、オクラホマシティでの生活に満足し、ウェストブルックとのデュオの可能性を確信して残留を決めた。そして、4年1億3700万ドル(約152億円)のマックス契約を勝ち取った。
ジョージとはトレードまでの経緯こそ異なるものの、2019年のオフにフリーエージェントになるカワイ・レナードも、昨年のオフにスパーズからラプターズにトレードされた。レナードを加えたラプターズは、開幕ダッシュに成功し、バックスと東カンファレンスの首位争いを繰り広げている。昨年のジョージと同様に、レナードの周辺も、今オフに地元ロサンゼルスのレイカーズかクリッパーズに移籍するという噂で持ちきりだ。しかし、もしラプターズがプレーオフでも結果を残せれば、レナードが残留を決断しても不思議ではない。
移籍先を決める上で、スター選手が優先する条件は、勝てるかどうか。ただ、プラスアルファされる条件には、市場規模の大きさではなく、選手としての幸福感や満足感が、より大きな要因になる時代を迎えようとしているのかもしれない。
The best of @russwest44 and @Yg_Trece this season for the @OKCThunder!
?: #ThunderUp x #LakeShow
⏰: 10:30pm/et ?: @ESPN pic.twitter.com/cgMjkabHUh— NBA (@NBA) 2019年1月2日