ジェイレン・ブランソン、ジョシュ・ハート、ドンテ・ディビンチェンゾ

自然発生的な連携が熟成されにくいチーム作りの穴を補う補強に

今オフのフリーエージェント市場でニックスが補強したのはドンテ・ディビンチェンゾでした。これでジェイレン・ブランソン、ジョシュ・ハートに続いて、ビラノバ大でNCAAトーナメントを制したガードを補強した形。殿堂入りした名将、ジェイ・ライトの下で学んだ選手が集まることで、ニックスにエネルギーをもたらしています。

2016年と2018年のNCAAトーナメントを制したビラノバ大は、流動的なポジションチェンジをしながらもスペースを保ち、強気に3ポイントシュートを放っていくオフェンスと、やはりポジションに関係なくフィジカルに戦う個人のマッチアップと、選手同士が適切な距離間を保つことでチームでスペースを消していくディフェンスが特徴でした。NBAでウォリアーズが優勝し始めた時期に、大学バスケでもポジションレスとシュート能力を活用した現代バスケの戦術を作り上げ、優勝という形で浸透させたチームと言えます。

サイズはなくともフィジカルコンタクトに強く、強気なシュートでチームを引っ張るブランソン、ウイングながらリバウンドに強くプレーメイク能力もあるハート、シューターとしてスコアリング仕事が本業ながらポイントガードからウイング仕事までこなしたディビンチェンゾと、いずれも3ポイントシュートが上手く、フィジカルにも戦える特徴を持った選手です。これらの特徴はニックスの戦い方にフィットし、かつチームに足りない部分を個人で補う形になっています。

ニックスはジュリアス・ランドルとミッチェル・ロビンソンが並ぶことでサイズの優位性がありますが、ガード陣にもフィジカルなディフェンス力を求めます。またポジション毎の役割分担よりも個人の対応力を重視する起用法のため、ガードを多く並べるユニット構成も発生し、ミスマッチも頻繁に発生します。

この点でサイズに関係なくマッチアップできるだけでなく、ヘルプ役もこなせるビラノバの選手たちは使い勝手の良さが目立ちます。特にハートはシックスマンとして出場すると、リバウンドも強ければ、スクリーナー役も担当するなど、目まぐるしく変化する試合展開とユニット構成に合わせて柔軟な対応ができます。ディビンチェンゾもスモールラインナップを多用するウォリアーズで様々な仕事をしてきただけに問題なくフィットするでしょう。

一方でニックスのオフェンスは個人技主体で、リーグで2番目にアシストが少ないなど、チームとしての連動性に課題があります。その点ではビラノバ大の流動的なオフェンスを共有する選手が3人揃うのは大きく、オフボールムーブからの3ポイントシュートとカットプレーがチームの新たな武器になりそうです。

一般的にはドラフトで中核となる若手を指名し、時間をかけてチームを作っていくものですが、ニックスはトレードやフリーエージェントで選手を集めたこともあり、自然発生的な連携が熟成されにくい面があります。そこを同じ大学出身の選手でカバーするというのは面白い取り組みですが、ビラノバ出身の3人には連携だけでなく、細部に手を抜くことなくハードワークを続ける『勝者のメンタリティ』をニックスに植え付けることも期待したいところです。