ウィザーズは再建を優先、十分な見返りがなくてもエース放出を容認
ブラッドリー・ビールのサンズ移籍が決まったと『ESPN』などが報じている。クリス・ポールとランドリー・シャメット、少なくとも4つの2巡目指名権と複数の指名権スワップとのトレードという内容だが、まだトレードはリーグへの報告が済んでおらず、ポールの第3のチームへの移籍が決まってからの正式発表となる可能性があるが、いずれにせよビールのサンズ移籍は内定したと報じられている。
サンズはマット・イシビアが新オーナーに就任してから、急ピッチでチーム改造を進めている。2月にケビン・デュラントを獲得し、シーズン終了後ただちに指揮官モンティ・ウィリアムズを解任。新たなヘッドコーチにフランク・ボーゲルを迎え、そしてビールの獲得へと至った。イシビアが「NBA優勝を実現するために、打てる手はすべて打つ」と約束した通りに、サンズは劇的に変わっている。
デビン・ブッカーとディアンドレ・エイトン、デュラントとビールの4人で、来シーズンのサラリーは1億6300万ドル(約220億円)となり、今シーズン以上に強力なスターパワーを持つが、ロスターの厚みには大きな課題を残すことになる。デュラントとビールがケガの多い選手で、彼らのコンディションをいかに保って長いシーズンを戦い抜くかがカギとなりそうだ。
ウィザーズは自分たちが持つ最大のタレントを手放す見返りとして、1巡目指名権も十分な選手も得られていないが、これはビールとの契約にトレード拒否条項があり、ビールが受け入れるトレードしか成立しないため。チームが再建に動き出すにはビールを手放すことが第一で、とにかく動くことを優先した結果となった。これで契約最終年のプレーヤーオプションを破棄すればフリーエージェントとなるクリスタプス・ポルジンギス、カイル・クーズマも何らかの形で放出することになるだろう。
それでも、クリス・ポールの第3のチームへのトレードがなかったとしても、ポールの契約は1580万ドル(約21億円)の違約金を払うことで解除でき、シャメットも同様に残り3年3300万ドル(約45億円)の契約を残しているが、2024-25シーズン以降の契約は無保証で、ウィザーズが必要としなければ彼らのサラリーは負担せず、今後のフリーエージェント市場での補強など他のどのチームよりも動きやすくなる点はメリットだ。
話をサンズに戻すと、クリス・ポールが抜けたポイントガードにはブッカーが収まり、ブッカーとビールのバックコートコンビが誕生し、2番手のポイントガードは引き続きキャメロン・ペインが務めることになりそうだ。本職のポイントガードが足りない感は否めないが、スターパワーが強力な分、今後は安い契約で済むロールプレーヤーを集めて選手層に厚みを加える必要がある。あるいはエイトンの放出を模索することになるだろう。
それでも、サンズは超強力な『ビッグ3』を擁することになった。目指すはNBA初優勝だけだ。