『誇り高き敗者』岐阜女子と『勝ちに飽くことのない』桜花学園、女子ファイナルを戦った好対照な両チーム

2016/12/28
プレーヤー
1585

文=鈴木健一郎 写真=小永吉陽子

『JX-ENEOSウインターカップ2016』大会6日目が行われた。決勝に駒を進めたのは桜花学園(愛知県)と岐阜女子(岐阜県)。今年のインターハイ、国体の顔合わせであり、去年のウインターカップ決勝の再戦でもあった。

結果は先にお伝えしたとおり67-65で桜花学園が勝利している。

岐阜女子はインターハイ、国体に続いて、最後のウインターカップでも桜花学園の壁を破ることができなかった。2点差というスコアはもちろん、試合展開やパフォーマンスでも『勝ってもおかしくなかった』だけに、敗戦のダメージは大きい。

涙のキャプテン、石井「目標を果たせなくて悔しい」

いつもは快活なキャプテンの石井香帆も、さすがに表情が暗かった。「出だしが悪くて自分たちの力を出せなかったです。焦ってしまい、続けてミスをしてしまいました」と試合を振り返る。

昨日の準決勝と今日の決勝では、手首に『気持ち』とマジックで書いて試合に臨んでいた。「3年間努力してきたドライブや3ポイントは出せたのですが、まだまだ足りなかった。最後にミスをした後に守り切る力がありませんでした。私にキャプテンとして力がなくて、インターハイ、国体に続いて『日本一になる』という目標を果たせなくて悔しいです」。そう語る石井の頬には大粒の涙が伝った。

「2年生、1年生には、自分たちの代でできなかった『日本一』を成し遂げてほしい」と、石井はこれまで引っ張ってきた後輩たちに夢を託した。敗退が決まった直後で気持ちの切り替えはまだできていなかっただろうが、「大学に行って、また日本一を目指します」と締めた。

岐阜女子の安江満夫コーチは「まだ力がなかった。攻め切る、守り切るという部分で去年と同じぐらいのチームにはなりましたが、詰めが甘い。そこがウチの実力だったと思います」と、敗因を個別のプレーではなく、チーム自体の実力にあると語った。

それでも、自分が育て上げたチームに対する自信は揺るがない。「ウチには一人も代表選手がいませんが、1年間を通じてちゃんと目標を持って取り組めばこのレベルに達します。それはチームを作っていて感じます。試合には負けましたが、選手たちの成長を褒めたい」。そして「ウチの選手も代表に選んでください」と、誰に向かってでもなく呼び掛けた。

3冠達成、去年のリベンジにも『ブレない』井上コーチ

対照的だったのは桜花学園の井上眞一コーチだ。これで通算61回目の全国制覇。強いこだわりを持っていた昨年のリベンジも果たせた。ところが、テレビ中継での優勝監督インタビューでもそうだったように、会見場に来ても口が重い。「選手が指示を聞かなくて厳しい試合になった」の一点張りだ。

優勝会見が終わり、他の記者たちが選手取材へと散ったところを見計らって、井上コーチに「これが明日まだ決勝を残しているのなら分かりますが、優勝したのですから喜んでいいのでは?」と率直に切り込んでみた。

それでも、井上コーチは全くブレない。「私がやりたかったディフェンスには程遠いものだったんです。変則的なディフェンスなんですけど、ボールがどこにあっても相手を抑えるディフェンスを準備して、少なくとも10点差で勝つつもりだったんです。こちらの考えはハマっていたんだけど、選手が指示どおりにやれなくて、相手のセンターに自由に動かれてしまっていた。思うようには全然いかなかったんでねえ……」

3冠を達成し、昨年のリベンジに成功してもなお、井上コーチの勝利への意欲、バスケに対する追求心は全く満たされていなかった。ウインターカップ優勝を成し遂げた翌日の朝からでも練習をやりたいぐらいの意欲を持っている。

言葉として引き出すことは果たせなかったが、今回のウインターカップ優勝がうれしくないはずはない。3冠を達成した選手たちを称える気持ちも、他の誰よりも強いはずだ。だが、井上コーチにとって『それとこれとは別』なのだ。より強いチーム、より偉大な勝利を求めて、また新たなチームの指導に注力するのだろう。『常勝軍団』の理由が分かった気がした優勝会見だった。

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