「チャンピオンシップに出たからには日本一になるという使命があります」
横浜ビー・コルセアーズは、5月21日に行われたチャンピオンシップセミファイナルの琉球ゴールデンキングス戦に84-88と惜敗。初戦に続いて敗れたことでシーズン終了が決まった。
この試合、横浜BCはレギュラーシーズン最終戦での負傷によりプレータイムを制限せざるを得ず、チャンピオンシップに入ってからベンチスタートが続いていたエースの河村勇輝をスタメン起用した。初戦での河村はコンディション不良の影響もあり、持ち味であるドライブがなく外からのシュートにプレー選択が偏っていたが、第2戦では立ち上がりから積極的にアタックを仕掛けることで、オフェンスにリズムを生み出した。
河村が起点として守備のズレを作り出したこともあり、横浜BCは第1クォーターで初戦の11-20とは違い、25-22とリードを奪って主導権を握る。初戦は70得点とオフェンスが不発に終わった横浜BCだが、この日は琉球の激しいプレッシャーに屈せず、巧みな連携から得点を重ね互角に渡り合った。だが、第4クォーターのここ一番での決定力でわずかに及ばずに敗れてしまった。
河村は24分20秒のプレータイムで16得点8アシストと、見事なインパクトを与えた。しかし、故障で本来のプレーができない影響は否めず、フィールドゴールは15本中5本成功に留まった。また、スイッチでビッグマンとの1対1️を作り出すと、いつもならスピードのミスマッチで相手を振り切れるのが、それができない場面も目立った。
Bリーグ当初からずっと負け越しのシーズンが続いていた横浜BCだが、今シーズンはチーム初のシーズン勝ち越しとチャンピオンシップ出場を達成。そして、クォーターファイナルでは川崎ブレイブサンダースとの神奈川ダービーを制し、セミファイナル進出と大きな躍進を遂げた。
しかし、河村にはそういった充実感よりも、先に来る感情がある。「チャンピオンシップに出たからには、日本一になるという使命があります。それが連敗して、日本一になれなかったことはすごく悔しいです」
また、常に自分に厳しい河村は、不慮のアクシデントである負傷に関しても足りない部分があったと、あくまで自分に矛先を向ける。「やはり大事な試合でベストコンディションに持ってこられなかった詰めの甘さ、実力のなさには悔しさを感じています。こういった状態になってしまったのはすべて自分のせいだと思います」
そして、この経験をさらなる進化の糧にしていきたいと続ける。「悔しい経験ではありますが、大事な大会をしっかりとベストコンディションで迎えるためには何が必要なのか。それがこのシーズンで分かったことを、バスケットボール人生におけるポジティブな面として考えます。もっとバスケットボールに集中しないといけない。もっと自分の身体を分からないといけない。いろいろな試合をしていく中で、ケガをしないためのコントロールをまた見つけ直さないといけないです」
「僕にとっていろいろと大事なことを学べたシーズン」と充実の1年を総括
最終的に天皇杯、チャンピオンシップともにセミファイナルで敗退と、目標とする日本一の座にはあと少しで届かなかった。それでも今シーズンの河村は、プロ選手として初めてフルシーズンを戦う中で、レギュラーシーズンでは52試合に出場し平均19.5得点、8.5アシスト、1.5スティールと傑出したパフォーマンスを見せた。
多くのバスケットボールファンが彼のプレーに魅了されたが、それはチームメートも同様だ。河村と阿吽の呼吸によるコンビプレーで得点を量産した相棒のチャールズ・ジャクソンは、このように河村を称える。「昨シーズン、他のチームでプレーしている時から彼の活躍、プレースタイルを知っていました。今シーズン一緒にプレーできて、河村選手に僕のことを頼ってもらったし、自分も頼る部分がたくさんありました。この連携は僕たちだけでなく、チームにとっても素晴らしいステップアップになりました」
「CSに入って彼の足のケガはちょっと心配でしたが、その中でも彼はめげることなく全力で自分のやれるプレーを貫いてくれました。人間性も含めて、彼のことを本当に誇りに思っています」
そして河村本人はこのようにシーズンを総括する。「ワクワクしたシーズンでした。僕自身、横浜BC3年目となる今シーズンは1年目、2年目の全く勝てなかった悔しさを持った上で、いろいろな評価をひっくり返したいという気持ちで臨んでいました。毎試合、このメンバーでバスケットができるありがたみを感じましたし、60試合の内、7試合に欠場してバスケットができない苦しさを味わいました。僕にとっていろいろと大事なことを学べたシーズンで、この機会を作ってくださったチームスタッフ、チームメート、自分たちを信じて応援してくださったブースターの皆さんに本当に感謝したいです」
激闘を終えたばかりの河村だが、今夏にはワールドカップという大きな挑戦が控えている。所属チームは変わるが、ベストコンディションで臨めなかった今回の経験を日本代表で生かし、同じ沖縄アリーナで今回の悔しさを晴らす大暴れを見せてくれることに期待したい。
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