劣勢の状況を打ち破る3ポイントシュートに成功「得点でチームを引っ張っていけた」

4月23日、三遠ネオフェニックスはアウェーで川崎ブレイブサンダースと対戦。敗れた第1戦と同様に出だしに2桁ビハインドを背負う展開となったが、川崎を大きく上回ったリバウンドからセカンドチャンスポイントに繋げ、シューター陣の長距離砲も次々と決まり、91-75と快勝した。

試合後、大野篤史ヘッドコーチは90点を超えるオフェンス力を発揮できた要因を次のように語る。「シューターにシュートを打たせたいと思いセットオフェンスを考えていました。ですが、それよりももう少しフローな状態で、彼らがリード&リアクト(自由な攻撃の中で、合わせから得点を取る動き)を生かせるようなオフェンスにしたことで、よりオフェンスがスムーズになったと思います」

指揮官が振り返る通り、テンポ良くオフェンスを展開したことで三遠はチーム全体で24アシストを記録。18得点10リバウンド10アシストをマークしたカイル・オクインのアシストを中心に、ハイ&ローやキックアウトからのアウトサイドシュートが効果的に決まった。3ポイントシュートを9本中5本成功と高確率で沈めた金丸晃輔は、「入りが悪かったですが、それ以外は良くできたと思います」と手応えを感じている。

開始3分で0-10のランを受けた三遠だったが、直後に金丸がドライブからフリースローを獲得してチーム初得点をマークすると、開始4分には三遠初のフィールドゴールとなる3ポイントシュートにも成功し、川崎のリズムを断ち切った。その後もシュートフェイクからのフローターなどで得点を重ねた金丸は、第1クォーターだけで9得点をマークして悪い流れを変えた。「最初に走られて、そこで点を取られたら取り返しがつかないと思いました。勢いづかせるためにも、スリーじゃなくても2点でも良いから、なんとか点を取りたいと思っていました」

その後も、相手に連続でシュートを決められたが、金丸は3ポイントシュートによるバスケット・カウントに成功するなど、効果的なプレーで相手の勢いを止め 、ゲームハイの21得点を記録した。

実に10月15日の茨城ロボッツ戦以来となる20得点オーバーをマークした金丸は、自身のパフォーマンスやチームオフェンスについて次のように振り返る。「得点でチームを引っ張っていけたかなと思います。僕が得点できるのは、チームのスクリーンやパスがすべてタイミング良くかみ合った時なので、その回数が多かったです。欲を言えば、もう少し誰が当たっているか、どこを攻めるべきかをチーム全体で理解していく必要があるなと。今攻めることができているのに、違う選択をしてしまうことが今日の試合で何度かありました。そういったところを突き詰めれば、チームとしても成長できると思います」

残り4試合もファンのために「僕たちはパフォーマンスを見せることが仕事」

今シーズンの金丸は、シーズン序盤にコンディション不良が続いたことも影響し、Bリーグ開幕以降初めて平均得点が1桁(9.9得点)となっている。その一方で、今回の試合のように持ち味である高精度のシュートを連発しチームを勝利に導くなど、元MVPの貫録を見せつける姿も披露している。

金丸は自身の最大の特徴であるオフェンス力について、チームの役回りを意識しながらプレーしていると語る。「僕が試合をやっていて常に考えているのは、今誰が当たっているか、どこが攻めどころかということです。相手に効果のあるオフェンスができているのであれば、それをずっとやり続ければ良いと思っていて、それを途中で止めてしまうことが一番良くない選択です。そして、止めて次のオフェンスで失敗してしまうと悪い流れになりますし、その選手もトーンダウンしてしまいます。僕はそういう気持ちが分かるので、そうならないためにも他の選手が当たっていれば、その時は僕が打つのではなくパスを回す側になったり、そういう役回りを考えています」

金丸が話すように、今回の試合では自身の3ポイントシュートやオフボールでの動きを囮にして、味方へのスクリーンや、ビッグマンへのポケットパスを繰り出してオフェンスを活発化させた。特にスクリーンについてこのように話す。「シュートが当たっていなくてもスクリーンに行けば、少しズレが起きたり何かが生まれます。当たっていないからスクリーンに行かないのは違うなと思っていて、スクリーンに行くことは毎試合やらないといけないです」

リーグトップクラスのシュート力を持つ金丸は、自分だけが輝くことを求めるのではなく、チーム全体が輝き、勝利を手にすることを欲している。そして、チャンピオンシップ出場を逃し、レギュラーシーズン残り4試合となった今もその思いは決して変わることはない。それは、この日も応援に駆け付けたファン、ブースターへの感謝があるからだ。「一番は見に来てくれているファンの皆さんがいることを考えないといけません。会場で応援してくれることは、本当にありがたいことです。僕らは、ファンの皆さんのためにパフォーマンスを見せることが仕事なので、そこだけは最後まで揺らぐことなくやり続けたいと思っています」

次節のホーム最終戦となる新潟アルビレックスBB戦、そして今シーズン最後の試合となるシーホース三河戦で金丸がファンの前で最高のパフォーマンスを発揮することに期待したい。