最大12点ビハインドを残り1分で逆転し、千葉Jが逆転勝利

4月22日、千葉ジェッツがアウェーで群馬クレインサンダーズと対戦した。序盤から群馬のオフェンスの勢いに押されたが、最終クォーターに群馬を8得点に抑えると、残り1分7秒にクリストファー・スミスが逆転シュートを成功させて80-78で競り勝った。

試合の開始直後から、千葉Jは群馬の猛攻を受けることになる。並里成の連続得点、マイケル・パーカーのスティールからの3ポイントシュートと1分も経たずに7失点してしまう。千葉Jはたまらずタイムアウトを取って立て直し、原修太が3ポイントシュートを成功させるが、ケーレブ・ターズスキーのインサイドプレーを抑えることができずに苦しんだ。3ポイントシュートを主体にオフェンスを組み立て得点を重ねるものの、群馬の強力なオフェンスを封じることができず、27-34で第1クォーターを終えた。

第2クォーターは一転してお互いにフィールドゴール成功率が上がらないディフェンシブな展開に。ジャスティン・キーナンのバスケットカウントで先行するもリズムに乗れない群馬に対して、千葉Jもターンオーバーを犯し得点が伸びない。ヴィック・ローやジョン・ムーニーが要所で得点するものの、7本放った3ポイントシュートは原の1本成功だけに留まる。ディフェンス強度を上げて簡単に展開を作らせなかったが、リバウンドやルーズボールなどで繋がれて、点差を縮めることができずに前半が終了した。

後半に入っても千葉Jは群馬の勢いを抑えることができず、八村のフリースローとファストブレイクからターズースキーのダンクで失点し、この試合最大の12点のビハインドを背負う。ギャビン・エドワーズの3ポイントシュートなどで応酬し、4点差まで縮めるものの、山崎稜とジャスティン・キーナンの3ポイントシュートで再び点差を広げられて捕らえることができない。要所での強固なディフェンスを遂行し群馬に完全に流れを渡さないまでも、最後までリズムがつかめず10点ビハインドで最終クォーターを迎える。

互いに得点が伸びないディフェンシブな入りとなったが、千葉Jは富樫勇樹の連続3ポイントシュートで均衡を破り、一気に5点差まで詰め寄る。さらにキーナンのアンスポーツマンライクファウルを誘い勢いに乗ると、富樫とエドワーズの得点で同点に。群馬も食い下がり一進一退の攻防となるが、富樫のパスを受け取ったスミスが角度のないところからフローターを成功させてこの試合初めて千葉Jがリードを奪う。そして、逆転を狙ったアキ・チェンバースの3ポイントシュートが外れ、千葉Jが大逆転勝利を挙げた。

チームの窮地を救った富樫「『勝とう』それだけでした」

今シーズンここまでの55試合の内、第1クォーターで34失点は最多であり、ディフェンスを重視する千葉Jにとっては異常事態だったと言える。序盤からビハインドを背負う展開となり、ジョン・パトリックヘッドコーチは「今日は明らかに第1クォーターはサボっていて、相手にチャンスを与えてしまいました」と振り返った。

「並里選手をフリーにしてしまいました。それ以外にもオープンシュートを打たせてしまい、闘争心があまりなかったです。あれは千葉ジェッツのディフェンスではなかったです」

しかし、残りのレギュラーシーズンやチャンピオンシップに向けて収穫にもなったと続けた。「負けると神経質になって良いことはないですが、今日のミスの箇所、例えばキーナン選手のピック&ポップや並里選手のピック&ロールの使い方に対して、序盤からしっかりディフェンスしないと40分間やられてしまうと感じたので、今日の経験は今後に生きると思います」

第3クォーターまで厳しい展開を強いられた千葉Jを救ったのは富樫だった。最終クォーターに入るまで3ポイントシュート1本成功の3得点のみだったが、追い上げが必要な最終クォーターに連続で3ポイントシュートを成功させ、チームに逆転の道筋を作った。

苦しい展開の中でもキャプテンとして、エースとして、チームメートを鼓舞した。「(チームメートにかけたのは)『勝とう!』とそれだけでした。リズムが悪くシュートが当たっている選手が1人もいない試合だったので、しっかりディフェンスしてオフェンスはいつも通り続けようと話していました。点差を詰めてこういうゲームができたのは良かったです」

現在、千葉Jは東地区優勝を確定させ、チャンピオンシップを見据えて残りのレギュラーシーズンを戦うことになる。「いつも以上にタイムシェアをしながらプレーすることになりますが、強度は継続しないといけないと思います」と話すように、これまでの経験を生かして長いシーズンを乗り切っていく姿勢を見せる。

今シーズンここまでの千葉Jは49勝6敗で勝率.891となっており、残り5試合で4勝以上すれば昨シーズンに琉球ゴールデンキングスが打ち立てた歴代B1レギュラーシーズン最高勝率.875を上回る。「最高勝率の可能性があります。チームとして話している訳ではないですが、個人としては目の前にそういう記録があるであれば作りたい気持ちがあるので、それに向けてやっていきたいと思います」と、富樫は記録も意識して残り5試合を戦う覚悟だ。

千葉Jは今シーズンはチーム体制の変更があり、試行錯誤を迫られる場面も多かっただろう。欠場者も多く決して平坦な道のりではなかったが、現在はリーグ首位を独走している。富樫が残り5試合でどんなパフォーマンスを発揮してくれるのか。そして、その先のチャンピオンシップでどんな戦いを見せてくれるのか今から楽しみだ。

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