川崎のホーム、とどろきアリーナが初の『満員御礼』に
川崎ブレイブサンダースは22勝3敗で中地区首位。アルバルク東京は19勝4敗で東地区首位。交流戦で今シーズン初めて実現した『頂上決戦』のカードだった。
昨日の第1戦はチケットも完売。試合開始2時間前に武蔵小杉駅を降りると、ロータリーからはタクシーが出払い、等々力緑地へ向かうバスにはかなり長い列ができていた。4789人と今季最多の観客を集めた大一番の熱気が、場外にもにじみ出ていた。
外国籍選手のオン・ザ・コート数はどちらも「2-1-1-2」で試合が始まる。
川崎が出だしから猛烈なランを見せる。最初のポゼッションでライアン・スパングラーが自ら持ち込んでレイアップを決めると、そこからニック・ファジーカスが3連発。長谷川技の3ポイントシュートも決まり、川崎は約3分で11-0とリードを拡げる。A東京はたまらずタイムアウトを取ったが、その後も川崎が辻直人の3ポイントシュート、ファジーカスのレイアップと点差を重ね、第1クォーター残り5分51秒で16-0という大差がついた。
川崎のランはここで止まり、A東京もやや盛り返したが、それでも第1クォーター終了時点でスコアは29-14と15点差。ファジーカスはわずか10分間で15ポイントを挙げていた。彼は3ポイントシュートを1本、2ポイント5本、フリースロー2本とこの10分間に放ったシュート10本すべてを成功。辻もアシスト5本を記録するなど、川崎にとっては思い通りに運んだ入りだった。
「試合前は結構緊張しました」という司令塔の辻だが、試合中の心境をこう説明する。「今までにない観客の方が来てくれたので、プレーオフやオールジャパンの決勝の雰囲気に近い中でできた。気持ちよく、楽しくバスケットができました」
川崎にとってはディフェンス、リバウンドが良かったからこそオフェンスも機能した10分間だった。辻は「ディフェンスで自分たちの対策がしっかりできていた。ギャレットのドライブをケアしようというのを一番にしていた。オフェンスは速攻も出せたし、ボールも回って自分たちのしたいバスケットができた」と説明する。
A東京はインサイドの軸であるトロイ・ギレンウォーターが出場停止。配球能力が高い彼の不在で、ディアンテ・ギャレットへの負担も大きくなっていた。伊藤拓摩ヘッドコーチが「良いシュートができないからリバウンドを取られて、そのままの流れで、川崎の走るバスケットをされた」と説明する悪循環があった。
3ポイントシュート攻勢でA東京が意地を見せる
ただ第2クォーターに入り、川崎がファジーカス、辻といった主力をベンチに下げると、試合の流れは一気に変わった。セカンドユニットで上回ったA東京は正中岳城、伊藤大司といった控えのガード陣が試合を立て直し、展開を五分に戻す。
第1クォーター途中から起用されていたシュートの名手、松井啓十郎が、第2クォーターに入ると3ポイントシュートを立て続けに3本成功。その後は正中、ザック・バランスキーも続き、3ポイントシュート攻勢でポイントを重ねていく。A東京は連続14点のランを見せて、第2クォーター残り6分58秒には25-29と4点差まで詰めていた。
辻はこう反省を口にする。「アルバルクの方が個の強さは上だなと改めて思った。第2クォーターのような展開になってしまうと優勝は難しい。もっとセカンドユニットの力をつけていかないと苦しくなってしまう。自分たちは最初の5人だけじゃなくて、チームで戦うというのが売りで、昨シーズンもそれで優勝した。もう一回チーム全体が気を引き締めて、そこを課題にしつつやっていきたい」
A東京が44-45と1点差まで詰め寄って迎えた第3クォーター。開始直後に田中大貴がディフェンスリバウンドから自らボールを運んでレイアップを沈め、46-45とこの試合で初のリードを奪う。ただ川崎は永吉佑也が残り2分57秒にはスピンムーブから豪快なジャンプショットを決め、バスケット・カウントで得たフリースローも成功。55-50と川崎が再び抜け出す。川崎は結局65-59で第3クォーターを終えた。
『ギャレット封じ』の成功で攻守にリズムが生まれた
両チームのオン・ザ・コート数が「2」となった第4クォーターは、川崎の両外国籍選手が躍動した。第1クォーターと同様、リバウンドの優位がそのままオフェンスにつながる好循環もあり、川崎が「6」だった点差を一気に5分足らずで最大「20」まで拡げる。勝負どころでの迫力で、完全に川崎が上回っていた。ファジーカスが10分間で12得点を上げ、スパングラーも11得点で続く。B1得点ランクの首位に立つファジーカスはこの試合、今シーズン最多(タイ)の39得点を記録した。
最終的には93-81で川崎が連勝を「15」に伸ばし、ホームを守った。勝敗を分けたのはディフェンスだった。辻はA東京の印象をこう口にする。「ギャレット選手はやっぱりボールを持ってからのプレーがすごい。でも昨年とは明らかに違うチームだなということも思った。今シーズンは個の強いメンバーが揃って、そこがストロングポイントだと思う。でもそこを守れたら今日みたいな結果になってくる」
ギャレットはこの試合12得点。3ポイントシュートが6分の1、2ポイントは10分の4に止まった。川崎が彼のドライブを封じ、タフショットを打たせたからこその結果だ。
川崎の北卓也ヘッドコーチはディフェンスに加えて「アシストが22ありますけれど、ノーマークの選手に決めさせることができた」という攻撃面の収穫を口にする。ただA東京がこのまま引き下がることはないだろう。今日の再戦はギレンウォーターが復帰し、両チームともフルメンバー同士の戦いとなる。
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