デマー・デローザン、ニコラ・ブーチェビッチ、ザック・ラビーンが奮闘
3週間前のブルズは一向に調子が上がらず、29勝36敗で東カンファレンス11位とプレーイン・トーナメント進出すらも難しい状況にありました。しかし、そこから6勝2敗と盛り返し、気が付けば8位まで1.5ゲーム差の10位に上がってきました。この間、ティンバーウルブズ戦とセブンティシクサーズ戦ではダブルオーバータイムにもつれる激闘を制し、ナゲッツやヒートといった強豪との対戦でも勝利をもぎ取っています。
スモールラインナップながらハードに戦うディフェンスが特徴ですが、3ポイントシュートが得意ではなく、サイズ不足によるセカンドチャンスも少ないなど、良い面も悪い面も大きな変化があるわけではないものの、ザック・ラビーン、デマー・デローザン、二コラ・ブーチェビッチのスター選手3人が「意地でも負けられない」という気持ちを前面に出し、個の力でオフェンス力を向上させています。
ここ8試合は3人でチームの6割以上の得点を奪い、フィールドゴール成功率50%、3ポイントシュート成功率40%と確率も良く、3人のアタックから他のチームメートの得点にも繋げています。特にラビーンは積極的なドライブからペイント内得点を大きく増やしており、得意の3ポイントシュートと合わせて3月の平均得点は30得点を超えています。今シーズンは集中力を欠くプレーを見せることもありましたが、シーズン終盤になってチームを強力に引っ張り上げています。
ラビーンのドライブ増に合わせるかのようにデローザンは3ポイントシュートを増やしてきました。シーズンを通してオフェンスの中心であり続けたデローザンは、ラビーンとのプレースタイルの違いから意思が合わないこともありましたが、チームメートが作ったチャンスに応えるように、かつては滅多に打たなかった3ポイントシュートを増やし、しかも50%近い高確率を残しています。
8試合中7試合でダブルダブルを記録しているブーチェビッチは、サイズのないブルズの中でインサイドでのフィジカルな戦いを制し、またデローザンとともにスティール数を増やすなどディフェンスでの奮闘も目立ちます。もともとのチームカラーではありましたが、最後の砦であるブーチェビッチの仕事量は非常に多く、負けられない試合が続く中でインテンシティを落とさずに戦っています。
実はブルズはこの3人が同時にコートに立つよりも、1人はベンチに座っている方がオフェンス力が上がります。中心選手が多すぎると効率が落ちてしまう典型例になっており、戦い方を整理できないままシーズンを過ごしてしまいました。しかし、シーズン終盤になって追い込まれたことで、選手の相性や役割分担といった細かいことを考えるのではなく、それぞれが強いメンタリティで戦い抜くことにフォーカスし、3人それぞれが少しずつステップアップすることで勝率も上がってきました。
プレーイン・トーナメントへと進む10位の座は激しい争いが続いてますが、チーム力に差はなくとも、強引にでも勝利をもたらすエースの力に差が出てきました。それは個人で違いを作れる選手を3人揃えている強みも出てきたと言えます。噛み合わない試合が続いて苦しんできた今シーズンですが、最後はエースパワーで押し切るのかもしれません。