ジョシュ・オコーギー

「NBAでプレーするようになった時から、ずっとこうやってきた」

現地3月16日、サンズは苦戦を強いられながらもマジックを116-113で破り、連敗を3で止めた。マーケル・フルツが25得点7リバウンド9アシストと活躍したのを始め、動きが良かったのは下位ながらアグレッシブなプレーの目立つマジックだったが、サンズは勝負どころで経験の差を見せた。

フルツは言う。「僕らは良いシュートチャンスを作って、自分たちのペースで戦っていた。そうして接戦に持ち込んだけど、ターンオーバーもくだらないファウルもあって、そういう小さなミスから試合を落とすことになった」

サンズで最多得点を挙げたのはデビン・ブッカーだが、平均27.8得点の彼がフィールドゴール17本中7本成功の19得点と爆発力を封じられた。それでもベンチから出たキャメロン・ペインが18得点、クリス・ポールとディアンドレ・エイトンが16得点、ジョシュ・オコーギーが15得点で続き、得点を繋いだ。

この試合で攻守に違いをもたらしたのはオコーギーだ。第4クォーター残り6分でコートに入った時には101-101の同点。すぐに好調のフルツからスティールに成功し、その後はフランツ・バグナーとパオロ・バンケロからも立て続けにボールを奪う。短い時間にスティールを3つも決められれば、マジックは慎重にならざるを得ず、持ち味だった出足の鋭さがなくなった。オコーギーはクリス・ポールのアシストから3ポイントシュートも決めているが、それより何よりディフェンスでマジックの勢いを止めたのが大仕事だった。

極め付けはラスト6秒、116-113で3点を追うマジックの最後の攻め。フルツのインバウンズからバグナーを経由してバンケロが3ポイントシュートを狙う。3ポイントシュート成功率は28.7%と振るわないが勝負どころに強いバンケロに素早くプレッシャーを掛けたオコーギーが、完璧なブロックでシュートを打たせなかった。そのまま速攻に走ったオコーギーが時間を使い、サンズの勝利が決まった。

マジックの選手たちは、サンズがファウルでプレーを切って時計を進めるものだと思っていたが、サンズはファウルを使わずにシュートを打たせるように仕向け、そこにオコーギーが飛び込んだ。「絶対に戦い続けるのが僕らのやり方だ。彼らには3ポイントシュートしかなかったからプレーは予想できた」とオコーギーは言う。

オコーギーはディフェンスのスペシャリストとして、直近の対戦でもステフィン・カリー、ヤニス・アデトクンボとタイプの全く異なるスター選手のマークを担当してきた。「NBAでプレーするようになった時から、ずっとこうやってきた。僕にとって新しいことじゃないんだ。それに僕はチャレンジが好きだ。そういう選手をマークするのは、大変だと思うより楽しい」

オフェンス面での苦戦が目立った試合だけに、シュートが得意ではないオコーギーが15得点を挙げたことには意味がある。「オープンになったらシュートを打つだけさ。僕はシューティングを毎日やっているし、かなりの時間を費やしている。オープンなのに打たないなら、その練習はやらなくていいよね? 僕ももともとは攻めるのが好きだし、良いバランスを見いだせたと思う。コーチから言われるのはゲームの流れを読むことなんだ。僕のシュートタッチがあまり良くないのであれば、無理に打つのではなくドライブから確実なレイアップを狙ったり、キックアウトで味方のシュートチャンスを作る。そのバランスが今日は取れていたし、勝てて良かったよ」

ケビン・デュラントが復帰早々ケガをして、チームとの融合が不十分なままプレーオフを迎えることになりそうなサンズだが、もともと誰か一人に頼るバスケはやっていない。オコーギーのような『伏兵』が必要なタイミングで底力を発揮して勝てることは、サンズの大きな強みとなっている。