ジャ・モラント

ブランドン・クラークはアキレス腱のケガで今シーズン終了

グリズリーズは難しい局面に立たされている。12月に7連勝、年末から1月前半にかけて11連勝を記録して西カンファレンスの主役を演じていたが、1月下旬にスティーブン・アダムスが膝のケガで戦線離脱したのを機に成績は下降線をたどり始めた。アダムスのケガが長引く状況に追い打ちをかけるように、ブランドン・クラークがアキレス腱を痛めてシーズン終了となった。

さらにグリズリーズの先行きを怪しくさせているのが、モラントの素行の問題だ。ナゲッツ戦が行われた現地2月3日の夜、彼はナイトクラブで拳銃を出す様子を自らSNSで配信した。これが悪い意味で話題となり、リーグ側が「モラントの投稿は認識しており、状況を調べる」と発表することに。グリズリーズはリーグの判断を待たず、モラントを2試合欠場させることを発表し、モラントは「昨夜の自分の行動について、全責任を負う。ストレスとの向き合い方、自分がどうあるべきかを学ぶために、少し時間を取ることにした」とのメッセージを発表するとともに謝罪した。

しかし、モラントの問題行動はこれが初めてではない。昨年の夏にはメンフィスのショッピングモールで警備担当者を脅したことで訴えられている。店員と口論になった母親からの電話で駆け付けたモラントは、警備から退去を求められたが応じず、警察を呼ばれる騒ぎになった。この際、モラントの取り巻きの一人が警備員を殴っており、さらに警備員は「彼が何時にここを出るのか教えてくれ」と言ったモラントの発言について「脅された」と警察に報告している。

その4日後、モラントは自宅近くでピックアップゲームをしていた際に、参加していた17歳の少年を殴り、拳銃を取り出したとして、少年の母親が警察に被害届けを出している。この騒動が取り上げられたのは数日前で、その直後にモラントが自らSNSに拳銃を持つ様子を配信したのは狂気じみた行為と言わざるを得ない。

1月には別の事件もあった。ホームでのペイサーズ戦が終わった後、メンフィスまで応援に来ていたペイサーズファンのグループが、「モラントの乗る自動車からレーザーを照射された」と告発している。彼らはこれが銃に取り付けるレーザーサイトの光だと考え、撃たれる脅威を感じていた。ただ、彼らは報復を恐れて警察には届けず、ペイサーズに匿名で状況を伝え、ペイサーズから報告を受けたNBAが調査に乗り出した。この調査は「誰かが武器で脅したという確証はなかった」との結果に終わっている。

これらの出来事は、それぞれ関連性のない別々の騒動で、モラントに非はないのかもしれない。しかし、普通のNBAプレーヤーは長いキャリアの中でもこんな騒動とは縁のないものだ。リーグの調査を受けるような行動が立て続けに起きている現状を受け止め、コート外での立ち居振る舞いを考え直すべきだろう。コート上でのモラントはNBAの次代を担うスーパースターとしての輝きを発している。しかし今は『試合で活躍していれば、コート外で何をしていようが関係ない』と突っぱねられる時代ではないのだ。