トム・ホーバス

「大きい選手もいるからリバウンドもできます。リバウンドで頑張ってほしいです」

バスケ男子日本代表にとってワールドカップ予選Window6の初戦となるイラン戦がいよいよ明日に行われる。トム・ホーバスヘッドコーチは、今回のWindowについて「長い間一緒にプレーしているので、基本的な動きだけでなく他のアクションも加えています」と、これまでの試合以上に多彩なチームプレーを展開できると自信を見せる。

アジア屈指の強豪国であるイランに対し、ホーバス体制になってからの日本代表は昨年7月のアジアカップで76-88、8月末のワールドカップ予選では68-79と公式戦で連敗を喫している。8月中旬に行われた仙台での強化試合では勝利しているが、この時のイランは若手主体のBチーム以下のメンバー構成となっており、結果を評価できるものではない。敗れた公式戦2試合に共通しているのは、イランのインサイド陣にゴール下で主導権を握られアジアカップでは31-44、予選では32-51とリバウンドで大きく下回ったことだ。

そういった背景もあり、ホーバスヘッドコーチもリバウンドを強調する。「今回ジョシュ(ホーキンソン)も加入し、大きい選手もいるからリバウンドもできます。リバウンドで頑張ってほしいです」

また、今回のイラン代表は、ゴール下の要である218cmのハメド・ハダディが帯同していないと見られており、リバウンド面にとってはプラスの要素だ。ただ、「ハダディはスーパースター」とホーバスヘッドコーチも称える一方、彼がいないことでイラン全体の機動力は明らかに向上する。また、「彼のオフェンスは素晴らしいけど、彼がいるイランのディフェンスに対してウチはいろいろできます」とハタディ不在によるマイナス面もあると見ている。

実際、機動力に難のあるハダディなら、ホーキンソンを筆頭とした日本のビッグマンはアウトサイドシュートでアドバンテージを作りやすい。しかし、彼がいないことで、リバウンドは取りやすくなっても守備における突きどころが1つなくなった面もある。

結果とともに求める内容「チームプレーをきれいに遂行したい」

親善試合を含めどんな時でも勝つことの重要性を強調しているホーバスヘッドコーチは、今回の試合でももちろん勝利を第一に考える。そして、内容面では「チームプレーをきれいに遂行したい」と語る。ただ、不安な部分もあると続ける。「きれいなプレーはタイミングやスペーシングが重要で、たくさん練習しないとできません。これまでずっと代表に選ばれているメンバーはできても、新しい若い選手たちが入ると、しっかりとリズムが作れるのか分からないです。また、このグループでまだ試合をやっていないので、ローテーションを作っていないです」

明日の試合に臨む12名を見ると、新顔はホーキンソン、渡邉飛勇、金近廉の3名のみであり、連携不足を言い訳にできるようなメンバー構成ではない。ホーキンソンは30分以上のプレータイムが予想されるが、渡邉と金近が主力としてコートに立ち続けることは考えづらい。残りの9名はホーバスヘッドコーチのスタイルに慣れている中、ぎこちない連携でローテーションに苦戦するアジャスト力ではワールドカップ本大会に黄色信号がともる。

「今回のチャレンジは良いチャンスだと思う。負けるのはダメではないけど、絶対にレベルアップしたいし、勝ちたい。勝つことでよりレベルアップできる」

最後、ホーバスヘッドコーチはこのように明日のイラン戦に向けて締め括った。ワールドカップではイランより格上の相手に対して勝利を求められる。だからこそ、ここで結果と内容の両方で満足できる戦いを見せてほしい。