富樫勇樹

持ち味の堅守で主導権握る「前半のディフェンスで試合を決定づけた」

2月15日、天皇杯セミファイナルで宇都宮ブレックスと千葉ジェッツが対戦。前半に最大23点差をつけた千葉Jがリードを守り切って77-65で勝利し、2年連続となるファイナルへ駒を進めた。

勝利した千葉Jのジョン・パトリックヘッドコーチは次のように試合を振り返る。「前半はすごくゲームプラン通りのディフェンスがやれていて、(宇都宮が前半に記録した)23点はセカンドチャンスとウチのターンオーバーからの得点でした。後半になると、宇都宮がディフェンスのインテンシティを上げてきてミスが増えてしまいましたが、大事な時間にムーン(ジョン・ムーニー)がオフェンスリバウンドを取ってくれて相手の流れを止めてくれました」

指揮官が話すように、前半は強度の高いマンツーマンディフェンスを徹底すると、ドリブルを止めた宇都宮の選手にダブルチームを仕掛ける積極性も見せて第1クォーターを7失点に抑え込み、主導権を握った。チーム最長となる33分間出場した富樫勇樹は「前半のディフェンスで試合を決定づけたと思えるほど、本当に素晴らしいディフェンスができました」と手応えを感じている。

また、13本中3本成功と3ポイントシュートはやや低調に終わるも、切れ味鋭いドライブなどでリングを狙ってチームハイの17得点をマークしたオフェンスについてはこう話す。「すごくシュートタッチが良かった日ではなかったですけど、その中でもドライブだったりで得点することができました。ある程度自分の仕事はできたと思います」

富樫勇樹

宇都宮の反撃受けるも、20連勝を支えた修正力で対応

前半に大量リードを奪って試合を優位に進めていた千葉Jだが、パトリックヘッドコーチが話すように第3クォーター以降はオフェンスでの軽率なミスから宇都宮にイージーシュートを許してしまい、第4クォーターには9点差まで迫られてしまう時間があった。しかし、富樫の得点やインサイド陣のリバウンドからリズムを取り戻して、再びリードを2桁に広げ危なげなく逃げ切った。

追い上げられながらも大きく崩れることはなかった要因を富樫はこう話す。「自分たちのミスから走られてしまう場面が何度かありました。ですが、追いかけられている時間や大事な時間にしっかり切り替えていこうと声を掛け合い、次のオフェンスの確認ができて、それが良い結果に繋がりました」

この試合の前に行われたリーグ戦の名古屋ダイヤモンドドルフィンズ戦では、前半は互いに得点を取り合う展開となるも、第3クォーターからディフェンスのギアを入れ直して快勝した。この試合の中での修正力こそ、千葉Jがリーグ首位に立つ所以なのだろう。

「先週の名古屋戦でも、前半と後半でチームのディフェンスは変わっていました。コートに出ている選手間でコミュニケーションを取り、問題を解決できるようになっています。それは今日の試合でも多かったです」

現在、リーグ戦を20連勝で駆け上がっている千葉Jは、一発勝負の天皇杯でも堅守速攻と修正力で大きな勝利を手にした。今シーズンの目標に掲げる三冠達成に向けた最初の挑戦となるファイナルは、3月12日に有明コロシアムで行われる。