佐々ヘッドコーチも称賛「紳司が繋いでくれたことが非常に大きかった」
2月12日、4連勝中の宇都宮ブレックスがレバンガ北海道との第2戦に臨んだ。リバウンドを支配して快勝した第1戦とは打って変わって、北海道の球際の強さやオフェンスリバウンドに苦戦。一度もリードすることなく64-77で完敗した。
ペイントエリアからの得点で28-40と大きく差をつけられたことが敗因となった。佐々宜央ヘッドコーチはファウルがコールされずに選手たちがフラストレーションを溜めてしまったことがその原因だと言う。「北海道さんが非常にアグレッシブにプレーしたことに対して、ファウルが鳴らずフラストレーションを溜めて審判と戦ってしまったゲームになりました。そこから、ゴール下をポロポロ落としてしまったり、フリースローを決め切れないことに影響が出てしまったことが敗因だと思います」
北海道の強気なディフェンスに気圧されてしまい、宇都宮の得点は第1戦の101点から一転して64点に留まった。しかし、チームハイの16得点を挙げた比江島慎を筆頭に、タフなディフェンスから速攻に成功するなど持ち味を発揮する時間帯もあった。そして、特別指定選手として12月から活動する高島紳司は、3本の3ポイントシュートを含む、4本すべてのフィールドゴールを成功させて11得点をマークし、劣勢が続くチームを得点で牽引した。この活躍に佐々ヘッドコーチも「ダメになりそうな時間帯に紳司が繋いでくれたことが非常に大きかった。反省点もありますが、ひたむきにプレーしており新人離れしている」と高く評価している。
高島は自身のプレーをこのように振り返った。「佐々さんやチームメートから、シュートが入ろうが入らなかろうが打ち続けろと言われていました。今日はそこが入って良かったとも思います。でも、追いつけそうな時間にターンオーバーが出たりして、長い時間自分たちに流れを引き込むことができずに終わってしまった印象です」
代表合宿で得た新たな気づき
高島はその非凡なシュート力を評価されて、2月6日から10日まで行われた日本代表のディベロップメントキャンプに召集された。大東文化大時代にU22日本代表に選ばれるなど、カテゴリー別の代表を経験している高島だが、今回の合宿に日本代表のトム・ホーバスヘッドコーチが参加していたことが新たな刺激になったと言う。
「自分より年下の年代や大学時代に代表で一緒にやっていた選手が多かったですが、監督がトムさんなのでシステムが全然違いました。特に自分はシュートを狙わなかったりすると、よく注意されたりしました。この部分は、代表でもそうですし、ここ(宇都宮)でも変わらないことだと思います。あらためて自分に気づきをくれた場所になりました」
代表合宿でシュートを狙う積極性を磨いた高島の活躍など、敗れた中でも収穫はあった。レギュラーシーズンは中断期間に入り、多くのチームはシーズン終盤戦に向け最後のテコ入れを行う期間を迎えるが、宇都宮は天皇杯セミファイナルの大一番が控えている。そして、相手は現在20連勝中と絶好調の千葉ジェッツだ。「自分たちにめぐって来た日本一になるチャンスなので、何が何でもつかみ取るという意識を持とうと佐々さんはずっと言っています。チームもそういう風に向かっていると思うので、ぜひ勝ちたいです」と、強敵との一発勝負に燃えている。
勝率を比較すれば、千葉Jが優位なのは明らかだ。また、勝利を取りこぼした宇都宮と、リーグの連勝記録に並んだ千葉Jには勢いの差があるかもしれない。それでも、一発勝負に絶対はない。劣勢で高パフォーマンスを披露した高島のように、逆境に強い本来の宇都宮の姿を取り戻すきっかけになる可能性はある。
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