オフェンスをけん引しA東京の連勝10を止める立役者に
中断期間前の最後の週末2連戦となった今節、西地区1位の島根スサノオマジックはホームで東地区2位のアルバルク東京との対戦を迎えた。リーグ2位と3位の上位対決となったが、終盤に島根がA東京を突き放し、77-67で勝利を飾った。
A東京は昨シーズンのチャンピオンシップのクォーターファイナルで島根に敗退し、シーズンを終えていることから、リベンジをかけての試合となったが、再びA東京の前に立ちはだかったのは前節から復帰したリード・トラビスだった。第1クォーター残り5分8秒、3-5と拮抗する場面でコートに立つと、このクォーターの4本のフィールドゴールを全て成功させる連続10得点でチームに勢いをもたらした。
開始5分が経過しチームはわずか3得点と苦しい状況にあったが「まずは自信を持って、チームにエネルギーをもたらしたいと思ってコートに立ちました。拮抗した状態でしたが、相手にファウルをもらったり、しっかりシュートを打つこと、そしてディフェンスで頑張ることを意識して臨みました」と、言うようにトラビスの献身性が試合を動かした。
結果的にトラビスはゲームハイの25得点を記録。動きやシュートタッチを見ていてもコンディションが万全かと思われたが、実際はそうでもないようだ。ポール・ヘナレヘッドコーチも「長期離脱していたため、トラビス自身のコンディションを調整してもらうことを前提に起用している。他の選手が活躍してくれているので、いち早く彼がフィットできるようにしたい」と慎重な構えを見せた。しかし、ヘナレヘッドコーチのトラビスに対する信頼や期待は大きく「彼がフィジカルな役割をしてくれているし、競争力をもたらす役割もしてくれている。それは彼が離脱している間にチームに足りなかったもので、彼の復帰がもたらすことは大きいと感じている」とも語っていた。
試合展開としては島根がリードを築いても、すぐさまA東京が差を縮めるタフな展開だった。そんな中トラビスは要所で活躍を見せた。A東京の強力なインサイド陣とのマッチアップについてはこう答えた。「自分のメンタリティとして、良い流れを作っていきたいと思っていました。自分たちのファウルが混んでいた状態だったので、逆に積極的にリングに向かってファウルを誘っていきたいと考えてプレーしました」
「島根のブースターはBリーグの中でも最高のファン」
トラビスは昨年11月19日の仙台89ERS戦の出場を最後に戦線離脱していた。前節のレバンガ北海道戦から復帰し、3試合続けて2桁得点を記録している。離脱前より直近3試合のフィールドゴール成功率が大幅向上しているが、現状の自分自身への評価を次のように振り返る。「10週間ほどバスケットボールができない状態だったので、復帰前と比べるとまだ出場時間が短く、徐々にコンディションを良くしていきたいと思っています。右手を骨折していたので長い期間シュートが打てなかったですが、今日は幸運なことにシュートが入ってくれました」
島根に加入して3シーズン目のトラビスだが、3シーズン続けて長期離脱を余儀なくされている。チームの力になれない期間が長引くと葛藤や焦りが出てくるものだが、欠場中も自身をサポートしてくれるチームメートやスタッフ、ファンへの感謝は忘れなかった。「試合に出られない間、多くの人が支えになってくれたので、毎日頑張ってやってこれました。どんな食事を摂るか、どんなトレーニングをするかを意識して復帰に向けて準備してきました。ファンの皆さんに良いパフォーマンスを見せられるように努力してきたので、それを理解してもらって後押ししてもらえるとうれしいです」
この試合、島根は過去最多の入場者数である4,065人を記録した。声出し応援が解禁となった会場では試合展開も相まって多くの歓声とメガホンを叩く音が選手の背中を押していた。「ブースターの後押しが私たちの力になっています。島根のブースターはBリーグの中でも最高のファン。空席がないことも良い雰囲気を作ってくれるのに繋がっています。ファンの皆さんのために頑張っていきたいです」
トラビスが復帰する以前も破竹の勢いで勝利を重ねてきていた島根だが、トラビスが復帰したことでさらに手のつけられないチームへと一段階レベルアップしている。昨シーズン取り逃がしたチャンピオンへ向けての準備は整った。
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