バスケットボールを軸とするアメリカのスポーツマネジメント会社『SB Enterprises,LCC』(以下SBE)に所属し、株式会社サン・クロレラが主催するバスケットボール育成プロジェクト『GLOBALLERS』のアメリカ遠征を担当したサリバン・ブラウン。自身も幼少期からバスケットボール一筋で大学までプレーし、その後は指導に魅力を感じて若手の育成に尽力。そして今後は『GLOBALLERS』の奨学金を獲得し、フロリダセントラルアカデミーに留学する新郷礼音(横浜市立豊田中)のマネジメントを担当するサリバンに話を聞いた。
「子ども達と世界中のバスケ団体との橋渡しになりたい」
——普段はどのような活動をしていますか?
バスケットボール選手を軸とし、主にユースプレーヤーを中心にマネジメントしている会社である『SBE』のスタッフとして活動しています。若手の育成や指導に興味を持ち、マネジメント会社にもスパイスを加えて指導に力を注いでいます。高校と大学を繋げるような組織で働いているので、将来的にはそういったところに所属する学生たちを大学や企業、世界中のバスケ団体へ橋渡しできるような仕事をもっとしていきたいです。
──日本にはそういった組織は多くありません。アメリカでは学生に対するマネジメントをどのように行っているのでしょうか?
確かに日本には少ないと聞きました。実はアメリカでもNCAA(全米大学運動協会)が新たにルールを作ったことで、最近になって活発化してきたところです。学生のうちから稼げる選手が生み出されるようになり、自分を売り込んでくれるエージェントやマネジメント会社とタッグを組むというビジネスも成り立ち始めました。全米トップレベルの選手たちにオファーをかけて、一緒にコラボレーションをしています。
──『GLOBALLERS』との出会いを通して、日本人選手のワークアウトを見た印象を教えてください。
今回参加した日本人選手はすごくタフで、6人とも非常に良い印象を受けました。我々がすごく気に入るタイプの選手たちで教え甲斐もありました。英語でのコミュニケーションはできなかったですが、一旦コートに立つと言葉は関係なく、やる気は言葉以外のところから伝わってくるものです。以前、日本人の留学生に教えたことがありますが、今回の6人は彼らと違うオーラ、熱量を感じました。とても感激しましたし、正直に言うと驚きました。
「何を武器に生きていくのかを見つけ、チャンスをつかんでほしい」
──今回からマネジメントしていく新郷選手の印象を教えてください。
バスケに飢えてる若者という印象を受けました。スーパーなどで若者をパッと見た時に「彼はアスリートだな。バスケをやっているな」というのが一目で分かるのですが、彼にもそういうオーラやカリスマ性を感じました。彼の意欲や姿勢に加え、フィジカル面でも素晴らしい選手になれる要素があると思います。彼のハードワーカーなところが大好きです。身長がどこまで伸びるか分かりませんが、どこのポジションがいいのか分からないくらいポテンシャルは高いです。
compete(対戦、対決)という言葉がありますが、礼音にはこの経験をどんどん積ませなきゃいけないと思っています。特に同じ世代でトップランクにいる選手たちを目の前にした時に、どういう戦略を組んで超えていくのかを感じさせたいです。そのためには当然、アジリティだったり、身体が細いのでストレングスも強化していかなきゃいけません。competeを主軸に置いて育成していきたいと思っています。
──サン・クロレラのサポート選手でもある渡邊雄太選手は日本人特有のひたむきさ、努力を続けるといった部分で成功を収めています。新郷選手も含め日本人バスケットボール選手にどのようなイメージを持っていますか?
渡邊選手のことはよく知っています。あれだけ身長のある選手はアジア人では珍しいと思いますし、彼は今NBAの中でも3ポイントシュートの成功率がトップレベルです。それは彼の特異性で、その結果、彼は残ることができていると思います。正直、礼音の特異性が何かはまだ分かりません。本格的にアメリカの高校に来ていないわけですし、アメリカの高校生、同世代の選手と真剣勝負をしたわけではないので、これから彼の特異性を見出す必要があると思います。そのためには、私たちだけではなく彼自身でも自分の武器を探さないといけません。今後いろいろなリーグに参加させることでスカウトに見てもらい、渡邊選手以上の露出度が見込めます。スペシャリティを何にするか、何を武器に生きていくのかを見つけ、チャンスをつかんでほしいです。
──最後に日本の方々にメッセージをお願いします。
プロだけじゃなく、アメリカのバスケの礎になっているユース世代のバスケットボールにもぜひ注目していただきたいです。特に我々のマネジメントでは全米を代表するような、これから出てくる卵たちのマネジメントもしているので、そういうアカウントをフォローすることで、こういう選手じゃないと上に行けないんだとか、そういう選手であってもなかなか到達することは難しいんだという現実が分かると思います。もちろん、『GLOBALLERS』の礼音のことも皆さんにはもっともっと知ってほしいです。夢を叶える人たちの周りにはアカデミーであったり、こういったマネジメント会社や学校のスタッフなど、たくさんのサポーターがいるということもこの記事を通じて伝わってほしいと思っています。