「必死になってつかみ取りに行った」勝利、連敗を13で止める
第4クォーター残り1分、ディアンジェロ・ラッセルが雑にキックアウトしたパスを引っ掛けたケニオン・マーティンJr.がワンマン速攻でのドライビングダンクを叩き込んで109-100。これでロケッツは2023年の初勝利を決めたかに思われた。
それでも13連敗中のロケッツにとって、勝利はそう簡単に手に入らないもの。すぐにアンソニー・エドワーズに3ポイントシュートを返され、その後のファウルゲームでフリースローを半分近く落としてしまう。ティンバーウルブズも他のチームが相手ならあきらめたかもしれないが、ファウルゲームになっても「ロケッツならひっくり返せる」と考えていたようで士気は衰えず、エドワーズが時間を掛けずに放つ3ポイントシュートを再び沈め、ルディ・ゴベアは2本連続のダンクを叩き込む。
残り12秒で4点差、残り3秒で3点差と肉薄されるも、最後はエリック・ゴードンがベテランらしい落ち着きで2本のフリースローを決め、ロケッツが119-114で辛くも勝利した。4週間ぶりの勝利を挙げても11勝36敗のリーグ最下位、トヨタ・センターには空席が目立ったが、チームは長いトンネルからようやく抜け出した。
勝利の立役者となったのは42得点を挙げたジェイレン・グリーンだ。フィールドゴール25本中15本成功、3ポイントシュートは12本中6本と高確率で決め、特に試合のラスト3分半で11得点を固めたことが勝敗を大きく左右した。5日前のホーネッツ戦では41得点を挙げながらも敗れたが、この日はキャリアハイを更新する42得点で、今度こそ勝利をもぎ取った。
グリーンは「前の試合で10得点しか決められず、ちょっとイライラしていたんだ」と、大活躍したホーネッツ戦ではなく、フィールドゴール13本中成功わずか3本、ターンオーバー6と絶不調だった2日前のウルブズ戦のことを気に掛けていた。「またすぐに対戦できて良かった。僕らは試合の映像を見て、コーチがダブルチーム対策を考えてくれた。ダブルチームに対してパスをさばき、また僕がボールをもらう良い攻めの形ができた。そうやって、あの最悪のゲームを乗り越えたんだ」
「僕らには勝利が必要で、必死になってつかみ取りに行った。ようやく勝てて良い気分だよ。チームメートもコーチも僕を信頼してくれて、それに応えるプレーができた」
グリーンは2021年のNBAドラフト全体2位指名の選手。ルーキーだった昨シーズンの平均17.3得点から、今シーズンは22.1得点に、リバウンドは3.4から4.2に、アシストは2.6から3.6へと大きく進化している。そして3試合のうち2試合で40得点以上を記録した20歳以下の選手は、グリーンの他にはルカ・ドンチッチしかいない。
グリーンは自分の活躍について「まだ2年目の若手だけど、NBAのゲームを学ぶことで成長している」と言う。「僕が目指すのはNBAのベストプレーヤーの一人になること。指導を受けながらできる限り多くのことを学ぶ。その中で偉大な選手になるための道筋も理解できると思う」
グリーンの成長がロケッツ再建の成否を左右する。今の彼はそれぐらいの影響力を行使し始めている。