「あの時の悔しい気持ちを忘れたことはない」前回の対戦で連敗した三河にリベンジ
1月18日に川崎ブレイブサンダースはホームでシーホース三河と対戦した。課題となっていた試合終盤のガス欠を克服し、ここ一番で攻守ともに遂行力の高いプレーを見せて86-74で勝利した。
試合の立ち上がりで主導権を握った川崎は、ボールムーブに欠ける強引な攻めが目立つ三河に対してプレッシャーをかけてタフショットを打たせる。そして、ディフェンスリバウンドを取ると、攻守の素早い切り替えでズレを生み出してニック・ファジーカスやマット・ジャニングが得点を重ね27-15とリードを奪う。第2クォーターはお互いにシュートタッチが悪く膠着状態となるが、川崎はジャニングが得意の3ポイントシュートを効果的に決め切ったのに対し、三河はトランジションからのインサイドアタックでレイアップを外すなど決定力に差が出て川崎がリードを17点に広げて前半を終える。
第3クォーターに入ると三河は前半沈黙していたエースの西田優大が得意のドライブをどんどん繰り出す本来のプレーを披露。このクォーターだけで14得点と大暴れし、試合の流れを変える。また、ベテランの柏木真介による熟練のボールコントロールでスペーシングが良くなったこともあり、パスが回るようになった三河のオフェンスを川崎は食い止めることができない。その結果、第4クォーター開始1分で柏木と西田の連続3ポイントシュート成功により川崎は62-62と追いつかれてしまう。
しかし、このピンチに川崎もファジーカス、ジョーダン・ヒースの3ポイントシュート成功と長距離砲を入れ返すことで嫌な流れを断ち切る。そして、三河にオフェンスリバウンドを取られるが、粘り強く守り続けることで簡単に得点を許さない。一方、自分たちもシュートタッチこそ良くなかったが、強気のアタックを繰り返して三河をファウルトラブルに追い込み、フリースローで得点を重ねたことで徐々にリードを広げて粘る三河を振り切った。
川崎はシーズン序盤に同じくホームで行われた三河戦で連敗を喫していた。佐藤賢次ヘッドコーチが、「あの時の悔しい気持ちを1日も忘れたことはない。絶対にリベンジをしようとミーティングで話をして試合に臨みました」と振り返った強い思いを各選手がプレーで体現してのリベンジとなった。
「チームを助けることができず、フラストレーションが溜まるところはありました」
この試合、チームトップの24得点を挙げたのは3ポイントシュート11本中6本成功とシューターの本領発揮となったジャニングで、次のように試合を振り返る。「チームとして戦えた試合だったと思います。前半はシュートも入ってディフェンスも機能して大差で折り返すことができました。第3クォーターは守備の強度を高くできなかった部分があり、三河さんに追い上げられてしまいましたが、チーム力が試される終盤の時間帯で良いプレーができて良いシュートを決め切れて、勝つことができました。前回の対戦で連敗した相手に対し、ここで1勝できたのはチームとして大きいと思います」
ジャニングは10月1日の開幕戦で右大腿二頭筋肉離れを負って戦線離脱すると回復が長引き、12月30日にようやく復帰したばかりだ。この間、チームに帯同しつつも昨シーズンに比べると思うように貯金が増えないチームを見守る日々が続いた。
「僕がいなかったことでプラスになった部分もあると思っています。例えば他の選手がステップアップしましたし、新加入のマイケル・ヤングジュニア選手など新しい武器をしっかり磨き上げることはできていたと思います」
このように謙虚なジャニングは自身の離脱中にマイナスだけでなく、ポジシティブな要素もあったと語る。ただ、当然のことだが「2カ月以上に渡ってプレーできずチームを助けることができなかったことで、自分の中でフラストレーションが溜まるところはありました」と悔しさを感じてもいた。その中でこの鬱憤を晴らすかのようにここ3試合で2度の20得点オーバーと見事な活躍を披露し、まだ完全とは言えないがコンディションには手応えを感じている。
「自分のパフォーマンスはできていると思いますが、まだ100%ではないです。ここからもっと状態は上がっていくと思いますし、それもここまでの道のりを支えてくれたチームスタッフのおかげです。僕がいることで他の選手を休ませてあげる時間帯を作ったり、自分のプレーでチームに貢献していきたいです」
ジャニングがゲーム勘をすぐに取り戻し、期待通りのプレーを見せてくれていることに加え、川崎にとって大きな収穫となったのは課題となっている第4クォーターの勝負どころで崩れなかったことだ。ジャニングはこう語る。「第4クォーターに関してはチームの課題で、ここまで競っている試合を落とすことが多数ありましたが、今日は終盤にしっかりプレーできたと思っています。大事な時間帯で自分たちが求められるのはイージーシュートを決める。リバウンドを取って良いディフェンスをする。相手にはイージーシュートを打たせない、しっかりと止める。そういった基礎的なことを今日はできましたし、最後の勝負強さを磨き上げていきたいです」
川崎は佐藤ヘッドコーチも「彼自身のプレーに関しては昨シーズンも一緒にやっているのでフィットしていると思います」と太鼓判を押すジャニングの復帰で、ようやくベストメンバーで戦えるようになってきた。ジャニングとヤングジュニアと異なるタイプの選手をどのように起用していくのか、外国籍選手のローテーションで試行錯誤の部分はあるが、メンバーが揃わずに苦戦したこれまでと比較するとうれしい悩みだ。色々と収穫のあったこの勝利でつかんだ勢いをキープするためにも、今週末に対戦する難敵の琉球ゴールデンキングスにどんなプレーを見せることができるのかは後半戦に向けた大きなターニングポイントとなってくる。