ポポビッチ「さぞかしビールも売れただろうね」
スパーズはAT&Tセンターをホームアリーナとして使用しているが、現地1月13日のウォリアーズ戦はクラブ創設50周年のシーズンを記念する目玉企画として、かつて本拠地だったアラモドームで行われた。
スパーズの前身となるチームはABAで創設されたダラス・チャパラルズだった。このチームがサンアントニオの実業家グループに買収され、サンアントニオに移転して『サンアントニオ・スパーズ』が誕生したのは1973年のこと。その3年後のABA解散に伴いスパーズはNBAの仲間入りを果たし、5度の優勝を重ねて現在に至る。
アラモドームは1993年にオープンしたアリーナで、2003年にAT&Tセンターができるまでスパーズのホームアリーナだった。その後も優勝祝賀会の会場になったりとスパーズファンにとっては特別な場所であり続けている。
アラモドームは現在NBAで使われているアリーナとは規模が違う。クラブの歴史を祝う試合とあって、試合2日前の時点でチケットは6万3592枚が売れたと発表されていた。そして試合当日にも立ち見のチケットが続々と売れた。
第3クォーターが終わったところで、アラモドーム時代のスパーズで活躍した殿堂入り選手の『提督』ことデイヴィッド・ロビンソンがマスコットのザ・コヨーテを引き連れてコートへ。彼がこの日の入場者数がNBA記録を塗り替える6万8323人と発表すると、アリーナは一番の盛り上がりを見せた。
これまでの記録は1998年にホークスがマイケル・ジョーダンを擁するブルズをジョージア・ドームに迎えた6万2046人。スパーズはこれを大きく上回る新記録を打ち立てた。
残念ながらこの時点で89-114と試合はほぼ決しており、113-144の大敗に終わるのだが、半世紀に渡るクラブ史の重要な瞬間に立ち会ったことでファンは満足し、アラモドームは祝祭の場になった。
アラモドーム時代からチームを率いるグレッグ・ポポビッチは「勝敗とは別に、みんなが楽しんでくれて良かった。さぞかしビールも売れただろうね」と笑顔を見せた。
ケルドン・ジョンソンは「負けるのは嫌だけど、今日の盛り上がりで怒りの感情は持てない。今日のファンの盛り上がりは、僕らが想像できるものを超えていた。このチームにいる栄誉をあらためて感じられた」と言い、こう続けた。「僕はバスケットボールが大好きで、ずっとプレーしてきた。その思いを今日あらためて確認できたように思う。明日からも毎朝、プレーする喜びを感じながら目を覚ますだろうね」