琉球ゴールデンキングス

東京のど真ん中で琉球のチームグッズが販売される大きなインパクト

1月10日、琉球ゴールデンキングスとBEAMS SPORTSのコラボレーションプロジェクト『KINGS with BEAMS SPORTS』の商品が陳列されたポップアップショップがJR新宿駅構内のBEAMS NEWSで2月2日までの期間限定でオープンした。幅180cmのバスケットゴールが展示された店内ではアパレルを中心としたオリジナルアイテムを購入できる。

人気ブランドのBEAMSが、プロバスケットボールクラブとのコラボでアパレルを制作する事自体が大きなニュースだ。さらに今回はポップアップショップを1日の乗降客数で世界一のギネス世界記録に認定された新宿駅構内という一等地で開催することで、より大きな注目を集めている。

沖縄のチームである琉球が何故、東京のど真ん中である新宿で今回のような大々的な取り組みを実施するのか。その理由を琉球の取締役である安永淳一はこう語る。「沖縄県内でのキングスの認知度はかなり高いところまで上がってきたと感じる反面、県外に一歩出ると、県内とはかなり温度差があり全国区になっていないです。これだけのコンテンツ力を持っていながらキングスが沖縄県内に留まるのは違うと思いますし、大きく言えば日本だけでなくアジアで大きく認知されるビッグクラブに成長させていきたいです」

この壮大な目標に向けBEAMSとコラボし、新宿駅で自分たちの存在をアピールできる意味は非常に大きいと安永取締役は続ける。「BEAMSさんが日本でファッションの最先端を走られているトップブランドであることは間違いないです。沖縄県内の企業、ブランドさんといろいろなコラボをさせていただいて来ましたが、日本全国という大きな市場を舞台にする場合、BEAMSさんは一番に浮かび上がったところです」

「今はオンラインでいろいろなことを伝えられる時代ですが、それでも店舗があってお客さんが商品を手にとって、見て感じていただくのは非常に大事です。その中でBEAMSさんとコラボができる機会を得ました。やるなら1人でも多くの人に気づいてもらうことが重要なので、東京の真ん中である新宿駅に琉球ゴールデンキングスが存在することはすごく意味があると思います」

琉球ゴールデンキングス

「スポーツアイテムではなく、一つのファッションアイテムとして見ていただきたい」

バスケットボールの本場であるスポーツ大国アメリカでは、NBAをはじめとしたプロスポーツ、さらにカレッジスポーツのロゴ入り、チーム名入りのアパレルを普段から着用することは一般的だ。そういった背景を踏まえ、ビームスクリエイティブの池内光代表取締役社長は今回のコラボで目指しているものをこのように語る。「元々、我々はアメリカの良いモノを日本に紹介したいという思いから46年前に創業し、ストリート系のモノを多く扱っています。我々の思いはBEAMS SPORTSの中で、最終的にアメリカのように観戦だけではなく、普段着としてスポーツアイテムを着ていく文化を育てていくことです」

「今回、バスケットをイメージする中でも基本的にファッションでトレンドになっているものをうまく取り入れた形での提案をさせていただいています。いわゆるスポーツアイテムという括りではなく、一つのファッションアイテムとして見ていただきたいです。そういった形でキングスのファン、それ以外の方たちも『ちょっとオシャレだな、かわいいな、かっこいいな』と感じて日常に取り入れていただけたらと思います」

画一的なチームグッズではなく、琉球のチーム名やロゴ入りのいろいろなアパレルをファンの人たちに普段着としてどんどん着用してもらう。これは琉球が重視しているファンとの触れ合い方の一つであり、その根底にあるのはファンそれぞれに自由な形でチームを応援してほしいという思いだ。チーム創設以来、これはずっと変わらない方針で、だからこそ琉球はコロナ禍の前からスタジアムMCがファンに統一した声出しを求めることをせず、チームカラーであるゴールドやネイビーブルーのTシャツを着用して応援という雰囲気作りを行わずにいる。

安永取締役は「思い思いの楽しみ方をしていただく中で、ファッションとしてのアパレルに琉球ゴールデンキングスを融合させ、ファンの皆さんの日常生活に入っていくことは大切です」と強調する。

「いろいろな個性があるのがキングスらしさだと思っています。昔から応援くださっているファンの人たちに楽しんでもらうだけでなく、初めてキングスの試合に来るようなライト層のファンの人たちが疎外感を感じるような雰囲気は良くないと思っています。会場では好きなチームのTシャツ、ユニフォームを来て応援し、会場を出ると普段着に戻って帰るのでは寂しい。普段から好きなチームの服を着たり、グッズを使ったりする文化が浸透していくべきです」

「ニューヨークに旅行するからヤンキースを見よう」と、同じような存在に

新宿の駅ナカという一等地でポップアップストアを開設したことが示すように、BEAMSも琉球と同じ思いを持っている。池内社長は次のように語る。「日常生活の中にファッションとしてスポーツアイテムが取り込まれていくことが一つのゴールというイメージがあります。そんなに一筋縄で行くとは思っていませんが、こういう形で大々的にやらせていただくのは初めてで、少しずつ世の中に紹介して地道にやっていきたい。この領域が面白そうと、スポーツ界が盛り上がっていってほしいです」

今回のコラボは琉球にとって、今までリーチできなかった人たちにも自分たちの存在をアピールできるファン開拓の絶好の機会だ。チームの認知を広げていくことで、安永取締役は次のような形になっていくことが理想と語る。「ニューヨークに旅行するからヤンキースを見て帰ろう。ロサンゼルスに行く時、大谷翔平を見たいからエンゼルスの試合に行けるかどうか調べよう。沖縄旅行をする人々にとってそういうプラスアルファにキングスがあり、沖縄アリーナが観光スポットとして全国から認知されていくことは非常に重要です。今回の新宿での試みは、そのための良いきっかけになると思います」

その上で、ファッションを琉球の一つの個性にしていきたいと締めくくった。「ファッションとしての琉球ゴールデンキングスをもっと展開できる。いつも応援してくださる方たちはもちろんですが、キングスを見たことがない人が、まずはアパレルから楽しんでチームに興味を持ってもらうカルチャーも生まれれば非常に面白いです」

バスケットボールとファッションの融合による大きな文化作りを目指してスタートとした今回のコラボがどんどん発展し、バスケがより人々の生活に根付くきっかけの一つとなっていくことを期待したい。