同カードとなる2月の天皇杯セミファイナルに向けて手応えをつかむ勝利に
1月8日、琉球ゴールデンキングスはアウェーで横浜ビー・コルセアーズと対戦した。前半は敗れた第1戦と同様にフィールドゴール成功率が上がらず2桁ビハインドを背負う時間が続いたが、第3クォーター以降にアレン・ダーラムやジャック・クーリーなど強力なビッグマンがインサイドを起点にオフェンスをコントロールしたことでシューター陣もオープンでシュートを打てるようになり、76-70で同一カード連敗を阻止した。
今シーズンの最少得点となる51得点に終わった第1戦からカムバックし、西地区の上位争いや、2月に横浜BCと対戦する天皇杯セミファイナルに向けて手応えを得ることができた琉球の桶谷大ヘッドコーチは次のように試合を振り返った。「今日は自分たちが連続でディフェンスストップができてリズムをつかむことができました。また、非常に良いボールムーブメントから良いスペースでオフェンスができていたと思います。同一カード連敗は阻止したかったですし、天皇杯に向けてもここで勝てたのは大きいと思います」
チームハイの18得点を挙げた岸本隆一も指揮官と同様に今回の勝利の大きさを話す。「チームが我慢して最後の最後に試合を持っていけました。今シーズンはビハインドを背負う展開をひっくり返せない試合が多かったですが、今日はそれを乗り越えて勝利できたので個人的には1勝以上の価値があるゲームになったと思います」
現在琉球は21勝7敗だが、岸本が振り返るように相手に先行されてそのまま追いつけずに敗れるケースが多かった。この試合でも前半は第1戦の悪い流れを引きずるかのように攻守のリズムがつかめず、最大17点のビハインドを背負う時間もあった。しかし、ビッグマンを筆頭に粘り強くリングにアタックし続けたことで少しずつアドバンテージが取れるようになると、ボールと人が動く良いスペーシングから高確率でシュートを決めて試合の主導権を握った。また、チームハイの得点に加えてゲームハイの7アシストを記録した岸本は、ダーラムのキックアウトから3ポイントシュートを決める場面もあれば、ピック&ロールからのフローターやビッグマンへのアシストなど攻めるべきポイントを的確に判断して琉球の得点を演出した。
「前半は重たいなと思う時間が多かったです。けど、第4クォーターからは空いたら打って、(ディフェンスが)寄って来たらドライブを仕掛けてアシストや自分で打ったりすることができました。ボールを持っている選手がしっかり責任を持ってプレーしていくことはチームメートにも言っていましたので、それが良い方向に向かっていたと思います」
「戦術や戦略ではないところでまとまることができれば自分たちの目標に届く」
第1戦は横浜BCのタフなディフェンスの前にシュート精度に苦しんだだけでなく、ターンオーバーもシーズン平均(13.3本)を上回る18本を喫し、オフェンスを組み立てることができていなかった。しかし、第2戦では15得点を挙げたダーラムを筆頭にインサイドでアドバンテージが取れていたことでストロングポイントを見極めることができ、10本に抑えることができた。桶谷ヘッドコーチは言う。
「昨日は何をやったらいいかわからない選手が多かったですが、今日はチームが共通理解を持っていて、出ている5人が攻めるべきポイントを攻め続けたことがチームとして良かったところでした。アドバンテージが取れている場所を起点にプレーできていました」
また、減らすことができたターンオーバーについて岸本は次のように見解を話す。「個人的にターンオーバーをなくすことは不可能だと思っています。ミスは出るものなので、その後にどういった行動ができるが重要です。ボールを丁寧に扱い過ぎて前を向けない心理状態に僕はチームメートになってほしくありません。アグレッシブに前を向いて失敗すること自体は次に繋がるし、(チームメートに対して)それは良いと言っています。もちろん減らすことも大事なんですけど、悲観的にとらえずにどういうことが起きているかを理解していけば良いなと思っています」
チームがどういった状態で進むべきかの羅針盤的存在となっている岸本はまもなく折り返しを迎える今シーズンについて次のように抱負を語った。「負ける時は『これはまずいかな』という感覚がありますが、勝つ時はまだ定まっていない部分が多いかなと思います。チームとして、『これをやっていると勝てるよね』、『このプレーで自分たちに流れが来ているよね』といった感覚、それが何なのかを後半戦で見つけたいです。これはコミュニケーションを取ってより磨いていくものなので、戦術や戦略ではないところでもっとまとまることができればおのずと自分たちの目標に届くと思います」