「他の人が点数を取ったほうが効率が良い」
12月10日、大学日本一を決めるインカレが幕を開ける。優勝候補の筆頭に挙げられるのは、関東大学リーグ戦を制した東海大だ。3年ぶり5回目の優勝を果たした東海大だが、リーグ戦序盤は思うように勝ち星が伸びず、先発メンバーを入れ替えるテコ入れがあった。ここで陸川章ヘッドコーチが抜擢したのは北陸学院からやって来た大倉颯太だ。
1年生ながらノビノビとプレーした大倉は見事に期待に応え、優勝に貢献するとともにリーグの優秀選手賞を受賞している。「リーグ戦で優勝するということは目標でしたし、東海大として取らなきゃいけないタイトルだと思っていたのでうれしいです。リーグの最初の頃と比べてスタートが変わったりしましたが、22試合の中で一番成長した自信はありますし、そこがインカレに繋がったので良い経験になりました」
高校時代から世代No.1スコアラーとの呼び声も高く、攻撃的なイメージが強かった大倉だが、東海大ではポイントガードとして味方を生かすゲームコントロールがプレーの中心となっていた。「自分が点数を取らなくても勝てると言うか、自分が点数を取るより他の人が点数を取ったほうが効率が良いということ。自分が中心のチームではないですし、これだけ良い選手がいるので、その中で一人ひとりの良いところをより多く出すために、その役割をやっているという感じです」
陸川コーチも「大倉君はもっと点を取らせようかと思ったら、いつの間にかポイントガードをやっている。バスケをよく分かっている」とバスケIQの高さを称賛している。
「やらなきゃいけない部分は全部把握している」
東海大は伝統的に『ディフェンスのチーム』として認識されている。ディフェンスを大事にするということは、どんな学校やチームでも、少なからず皆が意識している。では東海大がディフェンスチームたる所以はなんなのか。
「ディフェンスはもちろんですけど、相手によってスイッチのタイミングだったり、ピック&ロールの対応が変わってくるので、そこをすぐにアジャストできるところですね。ディフェンスのコンセプトとかもあって、難しいですけど」と大倉は言う。
優勝候補に挙げられるが「チームとしてはまだ完成していません」と大倉に慢心はない。それどころか、「自分としてもコーチとしても、インカレまでにやらなきゃいけない部分は全部把握しているので、あとはそれを仕上げるだけです」とさらなる成長を誓う。
インカレはリーグ戦と違い、一発勝負のトーナメント方式で行われる。大倉も「インカレは何が起こるか分からない」と話し、「ファンダメンタルもですが、フロアバランスだったり時間の使い方を、全員が理解して試合に挑むことが必要になってくる」と兜の緒を締める。
ルーキーとは思えない、コートでの落ち着きやオフコートの言動が示すように、大倉に緊張はなく「もちろん準備はできています」と力強く前を向く。「自分がやらなければいけないことは分かっているので、緊張はないです。優勝するために、全力を尽くすという心境ですね」
リーグ戦を席巻したスーパールーキーがインカレでどんな活躍を見せるのか。今から楽しみだ。
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