連勝ストップもA東京指揮官「ギブアップをしない精神的な強さを見せられた」

アルバルク東京は元旦ゲームで琉球ゴールデンキングスと対戦。序盤から相手の激しいプレッシャーに苦しみタフショットが増えると、常に後手に回る展開を変えられず71-82で敗れた。82-74で勝利した前日に続く同一カード連勝を逃し、連勝が11で止まってしまったA東京だが、第4クォーター序盤に19点と大量ビハインドを背負ったところから猛烈な追い上げで残り3分には6点差にまで肉薄するなど見せ場を作り、敗れた試合においてもリーグ屈指の力を示した。

シーズン序盤のA東京は、同一カードの連戦で初戦を勝利するも2戦目に敗れることが続くなど不安定な戦いぶりが目立っていた。しかし、試合を重ねるごとに今シーズン就任したデイニアス・アドマイティスヘッドコーチのスタイルが徐々に浸透していき規律、堅実、フィジカルといった強みを生かした自分たちのプレーを遂行する時間が増えていく。その結果として、大黒柱の田中大貴がインジュアリーリスト入りするなど故障者に苦しみながらも12月のタフなスケジュールを全勝で終え、右肩上がりでチーム力を高めている。

このチームの進歩にはアドマイティスヘッドコーチも手応えを得ている。「チームは序盤よりかなり向上していて、良い形で勝ち癖を作ることができてきています。今日も途中で19点のリードを許しながら一時は6点差にまで詰め寄り、あと一歩のところまでいきました。どんな状況でもギブアップをしない精神的な強さを見せられたのは、負けてしまいましたがプラスの材料でした」

そして、今後の課題については「一番厳しいのは選手がケガでいないところです」と、故障者が多いことで起こるプレータイムの偏りを挙げる。「昨日よりも今日はエネルギーレベルが少し落ちてしまいました。これは疲労やコンディション、もしくは選手層がケガの影響で薄くなっていることも影響していると思います。ローテーションに関してはベストな状況で連戦を戦うことができるのかが課題です」

「一番は状況判断をもっと良くしていく。そしてフィニッシュの精度を突き詰める」

攻守で抜群の安定感を誇る田中の離脱は、言うまでもなく大きな痛手となっている。その中でも連勝を続けられたのは、個々のステップアップのおかげだが、特に注目したいのは小酒部泰暉の奮闘ぶりだ。

今回の連戦でも初戦は14得点7アシスト4リバウンドを挙げて勝利の立役者になると、2戦目では8得点5アシスト1リバウンドに留まったが、ハンドラーとしてのチャンスメークや相手の得点源を抑えるディフェンスとスタッツに残らない活躍も光った。しかし、小酒部は「第3クォーターの入りで自分のパスミスから相手に決められてしまったのが敗因だと思います」と試合を総括し、第3クォーター序盤に自身のターンオーバーから3ポイントシュートを連続で決められて相手を勢いづかせてしまったミスを反省した。

田中が離脱していることでより役割が増している小酒部についてアドマイティスヘッドコーチは次のように称える。「この2日間、オフェンスとディフェンスともに良い仕事をしてくれました。ここ数試合、とても調子が良いです。大貴がいない中、オサ(小酒部)は中心選手の一人としてしっかりプレーしています。(ジャスティン)コブスがメインのボールハンドラーですが、オサもクリエイターとして自分で得点を挙げるだけでなく、アシストもできる選手になっています。我々のシステムにおける役割をしっかりと遂行して貢献してくれています」

だが、彼自身は次のように厳しい自己評価だ。「ケガ人も多くて自分がやらなければいけない部分が増えていると思います。ただ、ミスも多々あって、自分で納得していない部分があります。シュートセレクトでまだ迷いがありますし、ハンドラーとしてしっかりやっていきたいです」

この発言に代表されるように小酒部は抜群の身体能力を生かしたコート上での豪快なプレーとは一変し、会見でのコメントは常に控え目だ。それでも今のチーム状況を受け、中心選手としてより大きな責任を担っていく覚悟を見せる。「大貴さんがいる時よりはいない時の方がプレータイムも長くなります。大貴さんがいないことで自分がメインプレーヤーとしてやらなければいけない気持ちになっています」

A東京は次戦で中地区首位の川崎ブレイブサンダースと激突し、その後も群馬クレインサンダーズや広島ドラゴンフライズなど上位との対戦が続く。このタフなスケジュールで貯金を増やしていくためには「一番は状況判断をもっと良くしていく。そしてフィニッシュの精度を突き詰めていかなければいけないです」と、今の活躍ぶりにも満足せずさらなる進化に貪欲な小酒部がチームの要として存在感を発揮していくことが大きな鍵となる。