渡邊雄太

11得点5リバウンド、キャリアハイの5スティールを記録

現地12月31日、ネッツは敵地でのホーネッツ戦に123-106で勝利し、連勝を11に伸ばして2022年を締めくくった。

開幕から2週間が経過したところでスティーブ・ナッシュを解任。カイリー・アービングはSNS投稿のトラブルで出場停止とプレーではなく『お騒がせ男』で目立っており、シーズン序盤でネッツの先行きは非常に暗いものだった。それでもヘッドコーチ交代はショック療法以上の効果をチームにもたらし、カイリーは全方面から総叩きになった今回の事件を経てバスケだけに集中するようになった。そこにケガ人が戻ってチーム全体のコンディションが上がったことで、この連勝が実現している。

ナッシュの後任として指揮を執るジャック・ボーンは「正しい方法で今年を締めくくろう」と言葉を掛けて選手たちをコートに送り出し、チームはそれを忠実に実行した。チームでボールをシェアしてチャンスを作り出し、出場した11選手のうち3分しかプレーしていないディロン・シャープを除く全員がアシストを記録し、6選手が2桁得点を挙げた。フィールドゴール成功率60.0%(80本中48本)という数字は、個々のシュート力によるものではなくチームで良いシュートチャンスを作り出した結果だ。

第3クォーター終了時点で18点リードと余裕の展開で、ケビン・デュラントのプレータイムは30分で済んだ。勝てない時期は彼が休みなしてフル稼働してようやく勝ちを拾っていたのだが、この11連勝中の彼のプレータイムは34.3分と短くなり、ジェームズ・ハーデンがいた時でさえ解決できる目途が立たなかった『デュラント依存』というネッツ最大の課題も今は目立たないものになっている。

ホーネッツ指揮官のスティーブ・クリフォードは「ネッツはカイリーとKD(デュラント)のチームだが、それだけではない」と言う。「2人とも1対1を得意とし、2人でなければ止められない。しかし、その周囲には高いIQを持つ選手、経験あるベテランがいて、共通理解の下にプレーしている。チーム全体で見ると、すべてのことを得意としていて、どれもレベルが高いので守る側からすれば手の打ちようがない。ネッツのようなオフェンスができるチームはNBAで他にない」

ニコラス・クラクストンはキャリアハイに並ぶ6ブロックを記録。渡邊雄太はキャリアハイの5スティールを記録した。カイリーの28得点、デュラントの23得点だけでなく、こうしたサポートキャストの質の高さもネッツの強さを支えている。

渡邊は11得点5リバウンド1アシスト5スティールを記録。3ポイントシュート成功率は51.4%でリーグトップをキープしており、今シーズン22試合目の出場で2桁得点はすでに10回目だ。第3クォーター終盤の連続3ポイントシュート成功は、勝利を大きく引き寄せるビッグプレーだった。渡邊は言う。「それまでに2本外していて、特に最初のシュートはひどかったですけど、自信は持ち続けていました。それは今シーズンの1日目からそうです。自分がオープンであればチームメートは見逃さずパスをくれます。だから決めた時はロイス(オニール)からパスが出るのは分かっていたし、チームのおかげです」

そして渡邊はこう続ける。「今の僕たちはコート上でもベンチでも、ロッカールームでも練習場でも常に楽しんでいます。毎日みんなの笑顔を見るのは良いものです」

その渡邊と良いケミストリーを築き、加入1年目ながらデュラントとカイリーに次ぐ重要な選手となっているロイス・オニールは「1試合1試合を大切に戦っていきたい。あまり先のことを考えるのではなく、試合ごとのゲームプランをしっかり遂行したことで、新年を良い形で迎えられるんだ」と語る。

これでバックスをかわして東カンファレンス2位に浮上。連勝はいずれ止まるだろうが、それでもネッツの勢いは止まりそうにない。