第1クォーターから堅守速攻を体現し、61点差の快勝

12月25日、8年連続11回目のウインターカップ出場となった中部大学第一は初戦で明徳義塾と対戦。持ち味の堅い守備とファストブレイクで第1クォーターに26-4とビッグクォーターを作り出すと、その後もスピードのあるトランジションバスケで試合の主導権を握り続けて106-45と快勝した。

チームの最初の得点となる3ポイントシュートを沈めて流れを引き寄せたシューターの坂本康成は次のように試合を振り返る。「第1クォーターに自分たちの持ち味である足を動かしたハードなディフェンスから速攻に繋げることができて良かったです。ですが、練習でやっていたものよりはるかに(完成度は)ほど遠いと思うので、さらに堅守からの速攻を意識していきたいと思います」

最初のクォーターだけで明徳義塾のターンオーバーを7本誘発し、トランジションオフェンスで7アシストをチームで記録するなど、上々のスタートを切ったようにも見えた中部大学第一だったが、坂本が話すようにまだまだゲーム内容には満足していない。チームを率いる常田健コーチは「今日の出来は60点ぐらいですね。オフェンスのイージーシュートを落としたりするミスがありました。ここから相手のレベルが上がっていくと、セカンドチャンスはないと思っています。決めるべきシュートを決めて得点しないといけないです」と、オフェンス面の課題を挙げた。

また、坂本は3ポイントシュートのアテンプトが2本と、シューターとしては物足りない数字となった。坂本は自身の役割について次のように話す。「昨年だったら打つべきところでも、今年は自分がリバウンドに参加しないといけません。自分が打てるタイミングでドライブして周りを使ってリバウンドに絡んだり、シュート以外のプレーでも貢献したいと考えています」

実際、坂本は試合序盤に、味方が外したシュートに対して飛び込みリバウンドでファウルを誘うなどゴール下でも存在感を発揮したように、194cmの長身を生かしたインサイドでの役割を自覚し、この試合では2つのオフェンスリバウンドを記録した。

常田コーチ「勝っている時こそ自分に厳しくなってほしい」

前半で勝負を決めた中部大学第一だったが、先発の5人は小田晟を除いてプレータイムが20分を超えた。体力温存のためにベンチメンバーを出場させてもおかしくないが、常田コーチは責任感を持たせるための起用だったと話す。「僕はここまで40分間戦える選手を育ててきました。『あなたの代わりはいないんだよ』って、責任感を持たせています。『あなたがダメでも次がいるから』だと本当に苦しくなった時に戦えなくなってしまうと考えています。ファーストオプションとして自分が決め切るんだと言う責任感を持たせるための育成をしてきました」

また、昨年から先発を務め、今大会が集大成となる坂本への期待を常田コーチはこう語った。「勝っている時こそ自分に厳しくなってほしいです。今日の課題に挙がったイージーシュートのミスは、僕からしたら決めないといけないものだと思っています。自分がエースとして自分のプレーに対して厳しく、そして欲を持ってもらいたいです」

坂本は昨年悔し涙を飲んだ先輩の思いを胸に次戦に向けて次のように意気込んだ。「先輩たちの分も頑張らないといけないと思っています。チーム全員が自分たちがやってきたことをやり、個人としてはもっとリバウンドに絡んで、最初の出だしをもっと良いものにしていきたいです」。悲願の初優勝を果たすために、コーチが求める覚悟を持って戦うことができるか注目したい。