アヨ・ドスンム

残り4秒からの攻め、オフェンスリバウンドをねじ込むゲームウィナー

ブルズが連敗脱出に成功した前日のヒート戦、アヨ・ドスンムはプレータイムが5分しかなかった。アレックス・カルーソとザック・ラビーンがガードとして先発し、交代で入ったのはゴラン・ドラギッチとコービー・ホワイト。チームにとっては連敗の嫌な雰囲気を払拭する勝利となったが、ドスンムには気持ちの晴れない夜だったに違いない。

それでも12月21日のホークス戦では、ドスンムのプレータイムは34分にまで伸びた。先発のカルーソが脳震盪で11分しかプレーできず、ドラギッチが足首を痛めて欠場していたこともあるが、バック・トゥ・バックの第2戦でチームにエネルギーを注入するのが彼の役割だった。

試合はブルズが最大18点のリードを奪うもホークスの反撃に遭い、クラッチタイムに逆転を許す苦しい展開となった。ブルズが再逆転し、ホークスが食らい付いて108-108、残り4秒からのブルズの最後の攻めという場面。時間がない中でデマー・デローザンが放ったジャンプシュートはエアボールとなった。だが、ホークスの誰もジャンプシュートの名手がエアボールを打つとは予想していなかった。リングに当たって弾めばそれで時間がなくなるという状況で油断があったが、ドスンムだけはプレーを止めていなかった。

ドスンムはリスタートのボールをデローザンに預けた後、そのまま動きを止めずにゴール下に飛び込む。ボールはホークスのジョン・コリンズの手元に落ちてきたのだが、これをファンブルした瞬間にドスンムが鋭い動きでリバウンドを抑え、ゲームウィナーとなるゴール下をねじ込んだ。

ザック・ラビーンは「なぜあそこにアヨがいたのか、どうやってあんなに多くのオフェンスリバウンドを取れるのか理解できない」と笑顔で語る。「インバウンドのパスを出した後、ダンカースポットまで下りてきた。正しいタイミングで正しい場所にいると言えばそれまでだけど、どうやっているのか分からない。チームのために多くの犠牲を払っている彼の活躍はうれしいよ」

殊勲のドスンムは「自分の試合へのアプローチをやっただけ」と言う。「このリーグでは精神的にタフじゃなければ戦えない。僕は常に良いチームメートであろうと心掛けているし、そうあることに誇りを持っている。昨日の夜はプレータイムがなくて、戦いたかったけどその気持ちをみんなにぶつけるわけにはいかなかった。みんなを応援して、自分なりに気付いたことを伝えたつもりだ。そして、自分の出番がいつ来てもいいように準備をしていた。それが僕のメンタリティなんだ」

「第4クォーターに一時は8点差を付けられたけど、あそこであきらめずに戦い続けたことが僕らのチームとしての成長を示していると思う。今はケガ人が多いけど、これからもっと良くなっていくはずだ」

デローザンはヒーローになり損ねたが、ドスンムの活躍を大喜びしていた。「シュートを放った瞬間は良い感触だったんだ。コースは良かったんだけど、ちょっと長すぎて決められなかった。でも、アヨが決めてくれたならエアボールで良かったということだね。何か起きた時のためにと行動した彼の勝ちだ」と言い、こう続ける。

「ああいった瞬間を経験することで、僕たちはチームメートとして、時には家族以上に一致団結する。ああいう瞬間はたまらないよ」」