12月10日、岡本飛竜が約7カ月ぶりにBリーグのコートに立った。12月2日にアルバルク東京と2022-23シーズンの選手契約を締結した岡本は、10日、11日のホームでの京都ハンナリーズ戦に出場。2試合ともに10分を超えるプレータイムを獲得し、得点はなかったが持ち前のガッツ溢れるプレーでチームの勝利に貢献した。
170cm78kg、ポイントガードの岡本は延岡学園から拓殖大に進み、キャリアをスタートさせた島根スサノオマジックと広島ドラゴンフライズでそれぞれ3シーズンを過ごした。昨シーズンは新潟アルビレックスBBでプレーしたが、シーズン終了後に自由交渉選手リストに公示されると、8月中旬に練習生としてアルバルク東京に参加することが発表された。現在29歳、プロキャリアも8シーズン目を迎える中堅選手の練習生としての参加には驚きの声が上がっていた。そんな岡本に久しぶりの実戦について、そして今夏や練習生のことを聞いた。
B1選手から練習生、そして自力で練習場所を探す日々に
――まずは5月8日以来となるBリーグの試合出場を果たしました。京都との2戦の振り返りをお願いします。
練習生とはいえ、実は最近までチームから離れていたんです。なので、練習も少ししかできていなかったので、もちろん細かいところなどいろいろとありましたが、そういった部分をとりあえずエナジーでカバーしていこうと心がけました。この代々木第一という臨場感、そして素晴らしいチームの一員としてプレーするということで最初はプレーが固くなるかなと思いましたけど、コートに入ったらすんなりとゲームに入ることができました。やっぱりそれは周りの支えやチームメートの声がけがそうさせてくれたのかなと思っています。
――岡本選手のようにキャリアがある選手が練習生としてチームに参加することは、珍しいと思います。選手としてのオファーを待つこともできたと思いますし、練習生だと試合に出場することはできませんが、そこは気になりませんでしたか?
昨シーズン終了後にすぐにアメリカに行ってワークアウトをして、「良い準備ができた」というところで、東京さんからそういう話をいただいたので、本当に迷うことなく「お願いします!」という気持ちで参加させてもらいました。
声をかけてもらった時は「めっちゃ成長できるな」って思いましたね。アルバルクの環境が素晴らしいことも聞いていましたし、素晴らしいチームメートとも練習できるということで、ネガティブなイメージは全然浮かばなかったです。成長するためならと思って、すぐに決めました。
ただ、1カ月ぐらい練習して、すぐチームから離れることになったんです。練習生としてずっとチームにいると思われている方も多いと思うんですけど、実は練習生自体も一回終わっていたんです。その後は、なかなか次が決まらない中で、地元に帰ってバスケットをしました。もちろん、練習をする場所を探すことすら難しかったですけど、本当にいろいろな人の支えがありました。自分でいろいろな体育館を取ったり、毎日毎日、友人にリバウンドを手伝ってもらったり、クラブチームに参加させてもらったり。バスケをする場所を自力で探しながら過ごした2、3カ月は本当に辛かったです。それでも、やり続けられたのは目標があったからですね。アルバルクの練習に参加した時に「ここでやりたい」という思いがすごく強くなりました。そのおかげで目標を見失わずにいられましたし、一人の時もしっかり準備ができたと思います。
「チャンスが来たら、いつでも行けるように準備をしていました」
――一度はチームから離れしましたが、ケガ人などのチーム事情もあり、今度は選手としてA東京に加わることができました。その時は「来た!」という感じでしたか?
そうですね。NBAもケガ人が多くて、そういうところでチャンスをつかんでいく選手を見たりしていました。なので、自分にもチャンスが来ると信じてやっていましたし、どんなチャンスでも来たらいつでも行けるように準備をしていました。
――岡本選手と言えば、先ほど出た『アメリカでのワークアウト』など、オフシーズンに入った途端にトレーニングに励むことで知られていますよね。そのモチベーションはどこから来ているのでしょうか?
間違いなく、アメリカに行ってNBA選手やNBAを目指すカレッジの選手の練習に対する姿勢を見ていることです。本当に毎年感化されていて、彼らは尋常じゃないぐらい練習をするんですよ。それを見たら「こいつらがこれだけやっているんだから、俺はもっとやらなきゃいけない」と、いつも思います。ここ2、3年はコロナで行けていなかったですけど、今年は3年ぶりに行けたので、この苦しい状況の中でもやるべきことをやる大切さをあらためて教えてもらって、良いオフシーズンが過ごせました。
――良いオフを過ごしたけど、なかなかチャンスが来なかったのは辛いものがありますね。
そうですね。そこはなかなかタフでした。その中でおばあちゃんが亡くなってなおさら辛くて。でも、ここが踏ん張り時だなって思って頑張って、今回の機会をもらえました。
――それでは最後に今後の意気込みをお願いします。
本当にコートに立てた瞬間はすごくうれしかったですし、一瞬一瞬を無駄にしたくないと思いました。チャンスをつかむべくして日頃から良い準備をして、応援してくれる人、そして今回機会をくれたアルバルクの期待に応えられるように、辛抱強くしっかりやっていきたいです。