文・写真=古後登志夫

力強いプレーで攻守にわたりチームを支える鍵冨太雅は、父親の仕事の関係で幼少期をアメリカで過ごしている。バスケットボールへの情熱も父親から受け継いだもの。卒業後は『スラムダンク奨学金』で渡米することが決まっている彼にとって、ウインターカップは高校最後の大会であるとともに、アメリカへ向けた飛躍のためのステップボードだ。

目標を達成するため、勉強もバスケも一生懸命に頑張ってきた

──『スラムダンク奨学金』での渡米が決まっています。アメリカへの思いを聞かせてください。

僕は小さい頃にニューヨークに住んでいました。東海岸はすごくバスケットボールが盛んで、自分も父親の影響でバスケットを始めて毎日練習する中で、アメリカのNCAAに関心を持ったんです。NCAAトーナメントはアメリカでも一番盛り上がるバスケの大会って言われるもので、中学校に上がる前に親の都合で帰国した後も、「やっぱりアメリカの大学に行きたい」という願いがありました。

──その思いをずっと持ちながらバスケを続けていたわけですね。

はい。自分の目標を達成するため、勉強はもちろんなんですけど、バスケットでも一生懸命に頑張らなきゃいけないと思っていました。そう思いながらも行く手段がなくて、そこで『スラムダンク奨学金』があったので応募して、アメリカに挑戦することにしました。

──NCAAやNBAで目標にする選手はいますか?

ジェレミー・リンです。「アジア人はバスケがうまくない」というアメリカの概念をひっくり返した人なので、そういうのを目標にしたいです。

──来年はアメリカに行くとして、将来的な夢はどう考えていますか?

バスケットでやれるところまでやっていきたいです。NCAAに入れたらやはりプロでやりたいし、指導者になるのであればその道を極めたいので、日本代表のユースの監督とか、そういうところまでたどり着きたいです。何にせよ頂点まで極めたいですね。

流川楓みたいに、日本で一番になってからアメリカへ

──アメリカへ行く前に、高校生活最後の大会としてウインターカップが控えています。

日本で学生としては最後の大会です。日本での最後は、ウインターカップのセンターコートで日本一になってアメリカに行きたいので、それを目指してしっかり頑張りたいです。

──大会に向けて準備に入っていると思いますが、組み合わせは結構大変そうです。

1回戦からしっかり対策していけば、決して悪い組み合わせではないと思います。一戦一戦、40分間集中力を保てるように体力作りをして、重さに慣れるトレーニングも入れています。ディフェンスからブレイクを出す、そういう速い展開で80点から100点を取れるバスケットを目指します。

──個人としてこういうプレーを見てほしい、というのを教えてください。

自分のサイズとしてはハンドリングは結構得意です。リバウンドを取ってそのまま運んでブレイクにつなげるとか、自分がミスマッチを使って1対1とか、そういう自分の良さを生かしてプレーしたいです。

──最後に、ウインターカップに向けた意気込みを聞かせてください。

1年生の時に自分は幸運にもセンターコートに立ち、準決勝や決勝でもプレーさせていただきました。でも2年目にはセンターコートに立てない悔しい思いをしています。1年生の時は準優勝だったというのもあり、今年こそは絶対優勝したいです。その気持ちはどのチームよりも大濠が一番感じていると思います。あとは『スラムダンク』の流川楓じゃないですけど、自分がアメリカに行くということで、日本で一番になってからアメリカに行きたいっていう……そう感じています(笑)。