「誰が安定してチームに貢献できるのかを見極める」
マーベリックスはマジックとウィザーズのアウェー連戦で連敗を喫した。2日連続の試合は負荷が大きく、実力をなかなか発揮できないものだが、どちらも昨シーズンは下位に沈んだ格下であり、連敗は想定外だ。
エースのルカ・ドンチッチはここまでリーグトップの33.6得点と絶好調。開幕から30得点以上を9試合連続で記録していたが、この2連戦では24得点と22得点、2試合でフィールドゴール成功率が30.0%と不発に終わっている。
ヘッドコーチのジェイソン・キッドは、ウィザーズ戦の開始前に「ディフェンスでもっとルカをサポートしなければいけない」と語る。「ただでさえオフェンスの負担が大きいのだから、ディフェンスで彼を楽にして、オフェンスでも彼が参加しないプレーがあるべきだ。そうやってバランスを取ることが試合で勝つことに繋がる」
キッドが言うように、これはドンチッチではなくチームの問題だ。ドンチッチは絶対的なエースで、その負担はあまりにも大きい。マブスの得点とフィールドゴール試投数の約3割がドンチッチによるもので、アシストに至っては4割を超える。最も得点の期待値が高い彼には自然とボールが集まり、彼自身も常に自分でクリエイトし、自分で決めたいと思うタイプなのだが、それでは負担が大きすぎる。23歳の彼がいくらタフで回復が早いと言っても、毎試合40分近く出場して消耗と無縁でいられるはずがない。
指揮官キッドは「相手はディフェンスでルカを消耗させようと狙ってくるし、オフェンスも全部やる。まだ10試合だから分からないかもしれないが、25試合ぐらいで目に見えて影響は出てくるはずだ。この調子で行けばクリスマスまで保たない」と現状を危惧している。
「ここから数試合では少しやり方を変えるつもりだ。大事なのは誰がルカをサポートできるのか。誰がチームの2番手、3番手、4番手として安定してチームに貢献できるのかを見極める。今は日替わりで誰かが出てくる状況だが、そこを安定したチームの形にしたいと思っているんだ」
「ルカは望まないだろうね。『僕はリズムに乗っていて、実際に30得点ぐらい取っているし、チームも勝っている』と言うだろう。だが、ルカには我々を信用してもらわなければならない」
昨シーズンはカンファレンスファイナルまで駒を進めたが、ジェイレン・ブランソンが退団するとドンチッチを支える2番手が不在となった。ここ2試合でドンチッチに代わりチーム最多得点を挙げたスペンサー・ディンウィディー、レジー・ブロックにティム・ハーダウェイJr.、さらには開幕後に加入した新戦力のファクンド・カンパッソには、ただ自分のプレーをこなすだけでなく、限られた時間でもチームを引っ張りドンチッチの負担を軽減するプレーが求められる。一方でビッグマンにはディフェンス面でドンチッチをサポートし、守備での消耗を最小限に抑えたい。これを個人の頑張りではなくチームでカバーできるようにならなければ、マブスはただドンチッチの消耗とともに先細りすることになってしまう。