アルバルク東京

文・写真=鈴木栄一

攻守が噛み合ったA東京、快勝で前日のリベンジ成功

11月11日、アルバルク東京が敵地のとどろきアリーナで川崎ブレイブサンダースと激突。持ち前の強固なディフェンスに加え、3ポイントシュートを25本中12本を成功と攻守で充実のプレーを見せたA東京が87-70で前日に敗れたリベンジを達成している。

第1クォーター、残り約4分半で川崎の13-11と互角のスタートとなるが、ここでA東京は小島元基がチームに勢いを与える。速攻からのレイアップ、守備のズレをうまく突いたアタックでのフリースロー獲得に加え、終了間際には馬場雄大からのパスアウトを受けての3ポイントシュート成功とこのクォーターだけで8得点を挙げる活躍で、A東京が25-15と先手を取った。

さらに第2クォーターには、A東京が2つのミスマッチの攻防で優位に立つ。川崎がシェーン・エドワーズを3番、鎌田裕也を4番で起用することで、エドワーズはA東京の3番を担う馬場雄大、菊地祥平、ザック・バランスキーに対し高さのミスマッチを得る。ただ、鎌田がA東京のジャワッド・ウィリアムズにつくことで、こちらはウィリアムス優位のミスマッチとなった。

この状況において、A東京はウィリアムスがこのクォーターで4アシストを挙げるなど、ローポストでうまく攻撃の起点となる。インサイドアウトとパスの出し入れがうまくいったA東京は、スムーズなパス回しから外角シュートを確率良く決めて得点を伸ばす。一方、守ってはエドワーズがこのクォーターでフィールドゴール5本中1本のみに終わったように、日本人フォワードが粘りのディフェンスでうまく対応した。また、川崎にオフェンスリバウンドを第2クォーターだけで7本取られながら、相手のセカンドチャンスを食い止める。この結果として、リードを18点に広げて前半を終える。

アルバルク東京

ウィリアムズの連続3ポイントシュートで熱戦に幕

第3クォーター、なんとか追い上げのきっかけをつかみたい川崎だったが、A東京はルカ・パヴィチェヴィッチヘッドコーチが「川崎は20点差を挽回する力を持っていますが、相手の追い上げる気持ちを折る形で第3クォーターの出だしに乗せなかったことが勝利のカギ」と語ったように、ハーフタイムでさらに気を引き締めて付け入る隙を与えない。安藤誓哉のレイアップ、アレックス・カークのバスケット・カウントなどで残り6分半に24点にまでリードを広げて川崎の出鼻をくじいた。

第4クォーター、川崎はニック・ファジーカス、バーノン・マクリン、シェーン・エドワーズのビッグラインアップを駆使し、ゴール下から得点を重ねて懸命に追い上げる。残り約5分には13点差にまで迫るが、ここからA東京はウィリアムズが『必殺仕事人』の本領発揮となる連続3ポイントシュートでダメを押し、87-70でA東京の完勝となった。

パヴィチェヴィッチヘッドコーチは、前日と戦術的には何も変わっておらず、メンタルの違いが勝利をもたらしたと力説する。「昨日、川崎はとても高いモチベーションを保ち気持ちの入ったプレーをしていました。私たちはいつも通りの良いプレーをしましたが、それでは素晴らしいプレーの川崎が相手だと十分ではありません。今日は昨日に比べ、何がなんでも勝つという強い気持ちでオフェンス、ディフェンスともに最後までハードにプレーすることができました」

アルバルク東京

3番と4番のミスマッチで得た優位が決定打に

勝敗を分ける要因となった2つのミスマッチについて、パヴィチェヴィッチヘッドコーチは次のように選手を称えた。「我々は4番からクリエイトするオフェンスも組み立てています。その中で、いかにスペースを使うかが大事で、ジャワッドは良い読みを見せてくれました。ザックは本来なら4番ですが、3番にもマッチアップでき、(エドワーズに)フィジカルで負けません。菊地、馬場は運動能力が高くタフに守れます。今日は3人ともよく守ってくれました」

この試合、馬場、バランスキー、菊地は3人ともファウル4つだったが、それはファウルをうまく使いながら最後までエドワーズを波に乗せなかったと評価できる。

連勝が止まった川崎の北卓也ヘッドコーチは、「東京さんが出だしから強度の高いプレーをした結果だと思います。東京さんのハードなディフェンスに、どうしてもシュートの確率が下がってしまいました。そして少し差がつくとシュートを無理に打ちに行ってしまうなど我慢できずに走られてしまいました。シュートセレクションも良くなかったです」と敗戦を振り返る。

そして、10月には見られなかったエドワーズ3番、鎌田4番の起用法について「鎌田を出した方が機能する面もあります。シェーンの3番がどうなるのか、そこを今、見定めている状況です。鎌田のミスマッチは、すごくやられているという意識はないです。しっかりコンタクトをして頑張ってくれています。チームとしてのディフェンスが大事ですし、もっと精度を上げていきたい」と試行錯誤の段階にあると明かしている。

10月に行われた前回の対戦は、A東京が2試合とも20点差をつける圧勝だったが、今回は1勝1敗の痛み分け。2試合目は敗れたとはいえ、川崎の復調はあらためて実証された。そしてA東京も前日の敗戦からしっかりカムバック。両チームともに底力を示した強豪対決となった。