指揮官ダービン・ハム「お互いを信頼しなければならない」
レイカーズはナゲッツに敗れ、開幕から4試合を経ていまだ勝ち星がない。昨シーズン以上にチーム低迷の責任を背負わされているラッセル・ウェストブルックがハムストリングスのケガを理由にメンバーから外れ、代わりにオースティン・リーブスが先発したが、26分の出場でフィールドゴール5本中3本成功の8得点と平凡な出来に終わった。
ナゲッツ戦ではウェストブルック欠場の分までレブロン・ジェームズがチームを引っ張ることになったが、今のNBAで最も実績のある彼でさえもチームを取り巻く悪い流れに飲み込まれ、なかなか状況を打開できないことにフラストレーションを溜めて、終盤に失速してしまった。
レブロンは19得点7リバウンド9アシストを記録するも、ターンオーバーを8つも献上。レブロンは「スクリーンに来てもらい、チームメートが動いてチャンスを待っているのに、僕が積極性を欠いてしまった。僕自身がプレーで躊躇してしまったのが原因だ」と語るとともに、「でも、これはすぐに修正できる。これまでのキャリアで何度もやってきたことだから心配はしていない」と続けている。
レブロンはターンオーバーの問題をすぐに改善するかもしれないが、レイカーズの状況はなおも心配せざるを得ない。ナゲッツ戦の終盤、チームを引っ張ろうとするレブロンにフラストレーションを与えたのはホーム寄りな判定だけでなく、あっさりとリバウンドを許し、速攻を浴びる味方の不甲斐なさもあったはずだ。
もう一人のスター選手であるアンソニー・デイビスは22得点14リバウンド3スティール2ブロックとスタッツは上々だったが、勝負どころの第4クォーターで2得点と失速。第3クォーター途中にニコラ・ヨキッチとの接触で腰を痛め、プレーは続けたもののディフェンスとリバウンドでナゲッツの勢いに抗うので精一杯だった。
今シーズンからレイカーズを率いるダービン・ハムは「我々はお互いを信頼しなければならない」と言う。「競争し、結束し、自分たちのやることに責任を持つために、一番大事なのが信頼だ。それが揺らぐことがあってはならない」
それでもプレーオフ進出を逃した後の巻き返しを図るシーズンで開幕から4連敗を喫しては、まず自信が失われ、次に信頼が揺らぐ。それは現場の責任者の言葉だけで繋ぎ留めらるものではない。皮肉なことにこの試合、信頼を最も体現していたのは私服でベンチに入ったウェストブルックだった。自分に代わって出場したリーブスが最初の3ポイントシュートを放った時、立ち上がって指で「3」を示す姿が確認できる。終盤にレブロンがイライラを爆発させた時も、真っ先に駆け寄ったのはコートにいた選手ではなくウェストブルックだった。
ファンもメディアもウェストブルックを批判の的としているが、彼はスケープゴートでしかない。ウェストブルック抜きのナゲッツ戦に敗れ、これが続けば次の『犠牲の羊』は誰になるのだろうか? その状況でハムの言う信頼が保たれるとは思えない。