ゾーンディフェンスを攻めあぐねる大阪の苦戦
大阪エヴェッサがホームのおおきにアリーナ舞洲に横浜ビー・コルセアーズを迎えた第1戦。大阪は8連敗、横浜は4連敗と勝てない中で活路を見いだしたい一戦は、大阪が逆転で制した。
立ち上がりこそ互角だったが、前半の主導権を握ったのは横浜だった。先発の座を田渡凌に譲っている細谷将司が第1クォーター終盤に投入されると、迷わず放つ3ポイントシュート2本にジャボン・マックレアへのアシスト、また木下博之のファンブルを見逃さずスティールし、エドワード・モリスのダンクに繋げる好プレーの連発でチームを勢いに乗せる。第2クォーターも細谷の3ポイントシュートでのスタートとなり、前半だけで14得点と大活躍。チームは46-37とリードして前半を終えた。
大阪はディフェンスがソフトで、横浜の攻めを止められないために良い形で攻めに入ることができずに波に乗れない。さらには横浜のゾーンディフェンスを攻めあぐねた。ゾーン攻略には3ポイントシュートが欲しいところだが、橋本拓哉を1年間の出場停止で欠く大阪には生粋のシューターと呼べる選手がいない。エグゼビア・ギブソン、ジョシュ・ハレルソンのインサイドの強みが消されてしまうゾーンディフェンスへの対応は、この試合だけでなくシーズンを通した課題となりそうだ。
それでも大阪は連敗ストップに必死。しかも8連敗のうち6試合がホームゲームと、もう舞洲では負けられない。ハーフタイム後にコートに戻って来たチームは完全に意識を切り替えていた。
ホームでもう負けられない、気迫が前面に出た後半
大阪はディフェンスに激しさが出て横浜にイージーシュートのチャンスを与えない。加えて横浜にアクシデントもあった。前半で17得点と細谷と並びオフェンスを引っ張っていたマックレアが、後半開始わずか2分半で個人ファウル4つとなりベンチに下がることに。アマンゼ・エゲケゼとモリスもファウルがかさみ、インサイドが揃って激しく当たれなくなった結果、前半は思うようにプレーできていなかった大阪のビッグマンが波に乗った。ギブソンとハレルソンがインサイドで起点となることで大阪のオフェンスはうまく回り始め、第3クォーターの最後に合田怜の3ポイントシュートで58-58と追い付いて最終クォーターを迎えた。
ラスト10分は壮絶なオフェンス合戦。最初は大阪のディフェンスマン、今野翔太がオフェンスでもハッスル。アーリーオフェンスから迷わずフィニッシュに持ち込み、バスケット・カウントをもぎ取る3点プレーで逆転に成功すると、直後にスティールからのワンマン速攻も決める。ところが横浜も引かない。ここはエースの出番とばかりに川村卓也がオフェンスマシーンと化す。身体能力では川村を圧倒しているはずの藤髙宗一郎がベッタリと張り付いているのだが、それでも一瞬の動きでズレを作ってはシュートを沈めていった。
大阪は絶対的な優位であるインサイドを強調し、横浜は川村にボールを集める。残り2分を切って、藤髙のファウルを誘った川村がフリースロー2本を確実に決めて81-80と横浜がリードを奪う。大阪のタイムアウトを挟み、試合はクライマックスを迎えた。
ファウルトラブルに陥った横浜、大阪が力で押し切る
タイムアウト明け、パワープレーの連発でやや疲れの見えたギブソンがハンドリングミス。これを田渡が見逃さずに手を出しスティールに成功。そのまま速攻に行くが、ギブソンがこれをあきらめずに追いかけ、強烈なチェイスダウンブロックを決めてボールを取り返す。そこからのオフェンスは決してうまくは行かなかったが、崩せなくて強引に仕掛けたハレルソンがゴール下をねじ込んで82-81とリードを奪う。続く横浜の攻め、マックレアのシュートを再びギブソンがブロック。そしてハレルソンが強引に攻めてファウルをもぎ取り、フリースロー2本を決めて横浜を突き放した。
残り30秒、川村が3ポイントシュートを放ちつつファウルを誘いに行くも、藤髙はこれに引っかからない。この攻めをしのいだ大阪が、ファウルゲームを危なげなく乗り切って接戦を制した。
横浜は後半早々にファウルトラブルで失速。これまでディフェンスが大きな課題だったが、この試合の前半では粘り強く守って大阪のフィールドゴール成功率を38%と抑えていた。それだけにマックレアが軽率に個人4つ目のファウルを犯したこと、他のビッグマンもリスクを避けるマネジメントができなかったことが悔やまれる。チームのパフォーマンスは悪くなかっただけに、もったいない敗戦となってしまった。
大阪はギブソンが復帰4試合目で調子を上げ、ハレルソンと超強力なフロントコート・コンビを形成している。第3のビッグマンであるファイ・パプ月瑠もディフェンスとリバウンドでは計算できる上に、課題のシュートも改善しつつある。ポイントガードの木下博之もゲーム勘を取り戻しており、ようやく戦力が整った印象だ。
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