佐古賢一の『バスケット談義』vol.4~Bリーグをもっと良くするために、我々現場サイドも切磋琢磨していきたい

2016/11/30
Bリーグ&国内
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文=岩野健次郎 写真=高村初美

華々しいスタートを切ったBリーグにあって、2部リーグである「B2」はやや注目度が落ちるが、それでもB1所属クラブに劣らぬ実力を備えた強豪も存在する。その一つが広島ドラゴンフライズだ。初年度のB1昇格を虎視眈々と狙うチームを率いる「Mr.バスケットボール」こと佐古賢一ヘッドコーチに、チームの状況やバスケ界の話を聞く。

PROFILE 佐古賢一(さこ・けんいち)
1970年7月17日生まれ、神奈川県出身のバスケットボール指導者。中央大学3年次に日本代表入り。卒業後はいすゞ自動車リンクスに入団し、2002年にはアイシンシーホースに移籍して「プロ宣言」をした。ずば抜けた技術と勝負強さで数々のタイトルを獲得し、2011年に現役引退。広島の初代ヘッドコーチとして2014年から指揮を執っている。

前節では島根スサノオマジックに対して手痛い2連敗。ここから1週間でどれだけ修正できるかが問われた鹿児島レブナイズとの2連戦だったが、最下位の鹿児島を相手に危なげなく連勝を飾った。この2試合を振り返るとともに、開幕から2カ月が経過したBリーグについて、佐古ヘッドコーチに話を聞いた。

チームディフェンスから良いリズムを作ることができた2連戦

──第1戦は82-63、第2戦は87-58。鹿児島との対戦はいずれも快勝となりました。

佐古 先週、島根に対して悔しい負け方をしたので、気持ちを整理して、戦う気持ちを前面に出していかなければいけない試合でした。新加入のビッグマン、(アジーズ)エンダイがどこまでやれるのか、という点に注目でしたし、来週には首位の熊本ヴォルターズとの対戦も待っていますから、非常に重要な試合でした。我々の生命線でもある激しいディフェンスからリバウンドを取り、速い展開につなげていくことができて、2連勝という結果にホッとしています。

──注目はスタートのポイントガードが鵤誠司選手から北川弘選手に変わったことです。

佐古 最近はゲーム展開がやや重いことが多かったので、思い切って調子の良いヒロム(北川)をスタートにしてみました。彼の持ち味は激しいディフェンスからの思い切りの良いプレーなので、これが功を奏してチーム全体に良い勢いやリズムをもたらしてくれたかと思います。ヒロムは、自分のやりたいことやチームでやらなければいけないことが、自分の中でシンプルかつ明確に整理されていて、それが好調につながっていますね。

──鵤選手についてはどのように見ていますか?

佐古 最近ちょっと迷いがあるのかな、という感じです。ただ、こういったスランプは選手なら誰にでもあることです。我々はプロですから、こういった壁は各自がそれぞれが自分で答えを出して乗り越えていかなければいけない。鵤は我々にとってとても必要な選手ですし、能力の高い選手ですから、すぐに一皮も二皮も剥けてくれるものだと思っています。

──新加入のエンダイについてはいかがですか?

佐古 まだ2試合しかしていないということで、ゲーム感やチームメートとの連携についてはまだまだですが、リバウンドや個人の能力が高いことはゲームで証明されたと思っています。我々も彼のプレーを把握しなければいけない段階で、これから我々の求めているプレーをコーチングしていきます。チームにはすでに溶け込んでいます。キャメロン(リドリー)の怪我は非常に残念でしたが、良い補強になったと感じています。

──来週は首位を走る熊本との対戦です。カギになるのは何でしょうか。

佐古 ディフェンスとリバウンドですね。熊本には良いビッグマンがいますから、我々がディフェンスリバウンドを取れずにセカンドチャンスを向こうに与えれば与えるほど、我々の展開は厳しくなります。その意味でも、エンダイ、山田(大治)、コナー(ラマート)といったビッグマンがディフェンスリバウンドを一発で取ってオフェンスに繋げられるよう、イニシアチブを取りたいです。

鹿児島との試合でスターターに抜擢された北川弘。第1戦で20得点を挙げるなど期待に応える働きを見せた。

『夢を見ることができる』というBリーグへの期待と課題

──新しいトップリーグが始まって2カ月が経過しました。Bリーグの印象はいかがですか?

佐古 正直なところ、何が目に見えて変わったのかと言われると困るところはあります(笑)。それはやはり、バスケットボールへの『期待感』でしょうか。バスケット界には未来がある、それをみんなが感じられるような流れになってきたかと思います。観客動員やチームでの売上などに関する数字はこれから出てくるでしょうから、『数字』として実際にどうなったのかという検証については今からの作業でしょうね。やはり、『夢』を見られるリーグになってきた、ということはとても大きいかと思います。

──課題を挙げるとしたら何でしょうか。

佐古 今の状態をもっと良くするためにやらなければならないのは、『ルールの再整備』だと感じています。Bリーグは良い意味でも悪い意味でも『突貫工事』的に作ったリーグですから、我々現場に落とし込まれていないルールがあったりします。

──それは具体的には何でしょうか?

佐古 例えば、B1では外国籍選手を2人プレーさせられるピリオドを決めることができます。ところがB2になると[1-2-1-2]と決まっているんですね。これはなぜだろう(笑)。B1とB2で入れ替えは発生してくるのに、ルールの整合性が取れていないという気がしています。

──よく言われているのはレフェリーの技術力アップですが、これについてはどう思いますか?

佐古 求める声が上がっているのは事実かと思います。レフェリーのレベルアップのための制度化を進めるというか、体系的にレフェリーが向上していくシステムを作ってもらえればいいと思います。

──具体的なアイデアはありますか?

佐古 例えば、試合終了後に5分だけでもいいから、両チームのヘッドコーチとレフェリーがミーティングを行い、ジャッジに対する「認識」を合わせるとか。一方のコーチだけとの話し合いは不公平になる可能性があるので、そこは現場にいた責任者すべてが集まって、判断基準や認識をすり合わせていく。あくまでより良い試合運営を行っていくための、建設的な対話ですね。そういう機会が持てればベターだと思います。いずれにしても、人気の出てきたリーグをもっと良くするために、我々現場サイドとしても切磋琢磨していきたいと思っています。

バスケット界には未来がある。だからこそ、始まったばかりのBリーグをより良くする努力が必要だと佐古ヘッドコーチは説く。